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「たった5分息するだけで 93.9% の精度でがんを発見」犬とAIの最強タッグが医療を変える

AI

ある日の朝、あなたは何気なくマスクをつけて5分ほど呼吸する。
それだけで、もし今、自分の体のどこかでひそかにがんが進行していたとしても、それを発見できるとしたらどうでしょう?

注射も痛みも大きな検査機器も必要ない。
ただ呼吸をするだけ。
そんな未来のような話が、いま現実になろうとしています。

しかも、この最先端の検査を支えているのは、なんと「犬」と「AI」。
この驚きのタッグが、私たちの命を救う新しい医療の扉を開いています。


息に潜む”がんのサイン”を、犬が見逃さない

私たち人間の嗅覚は限られていますが、犬は数百万倍もの感度を持っています。
この卓越した嗅覚を医療の現場で活かそうと、世界では長年にわたり研究が進められてきました。

中でも注目されているのが「がんのにおい」。
がん細胞は、他の細胞とは異なる特有の揮発性有機化合物(VOC)を発することが知られています。
呼気に含まれるこの微細な化学のサインを、犬は嗅ぎ分けることができるのです。

イスラエルの医療スタートアップ企業「SpotitEarly」は、この犬の嗅覚と人工知能(AI)を組み合わせた「バイオハイブリッド・プラットフォーム」を開発しました。
この仕組みでは、犬ががんのサンプルを嗅ぎ分け、その反応をAIが解析することで、がんの有無を高精度で判断できます。


臨床研究で実証された高い精度と早期発見力

この驚異的な技術の信頼性を確かめるため、SpotitEarly は 2021 年12月から 2023 年12月にかけて、1,386 人を対象にした大規模な臨床試験を実施しました。
被験者には、がん検診を受けた人や、がんの疑いで生検を受けた人が含まれており、試験は厳密な二重盲検法で行われました。

驚異の精度を記録

その結果は、専門家の間でも驚きをもって受け止められています。
肺がん、乳がん、大腸がん、前立腺がんの4種類について、感度(正しくがんを見つける力)は 93.9%、特異度(がんでない人を誤判定しない力)は 94.3%。
そして何より特筆すべきは、ステージ 0〜2 の早期がんにおいても、感度が 94.8% という非常に高い数字を記録したことです。

訓練していないがんも高精度で発見

これは、既存の画像診断や血液検査と比べても遜色のない、むしろそれを上回る水準です。
さらに驚くべきことに、犬たちは訓練を受けていなかった14種類のがん(腎臓、下部尿路、卵巣、カルチノイド、子宮頸部、子宮内膜、胃、中咽頭、外陰部、虫垂、中皮腫、胸腺腫、甲状腺、膵臓がんなど)にも高い感度(81.8%)で反応を示しました。


呼気検査が変える、がん検診のあり方

では、実際の検査はどのように行われるのでしょうか。

たった5分の簡単な検査

手順は非常にシンプルです。
被験者は5分間、マスクを装着して普通に呼吸するだけ。
そのマスクを密封して送付すれば、あとは犬とAIの出番です。

🤖 AI技術が支える高精度判定

犬がマスクのにおいを嗅ぎ、異常を感じ取った場合は、その前に座るという特定の行動で「陽性」を示します。
この行動だけでなく、犬の微妙な体の動きや表情までも、カメラとセンサーがリアルタイムで記録。
それらの情報をAIが解析し、最終的な判定を下すのです。

この一連の動作にかかる時間は、わずか数秒。
しかも、1つの検体に対して4つのバイオハイブリッドユニット(犬とAI)が独立して検査を行い、多数決により判定されるため、偶発的なミスの可能性も大きく減らされています。
同数の場合は、追加のユニットが最終判定を行います


「痛くない」「簡単」「早い」——未来の検診が私たちにもたらすもの

従来検診の「つらさ」を解消

この検査が大きな期待を集めている理由は、単に精度が高いというだけではありません。

従来のがん検診には、どうしても避けられない”痛み”や”抵抗感”がありました。
たとえば大腸内視鏡は準備も大変で不快感も強く、マンモグラフィーやCT検査には被曝リスクも伴います。

自宅でも可能な革新的な検査

しかし、SpotitEarly の検査には、痛みも放射線もありません。
自宅でも可能なほど簡単で、何より”手軽”です。
だからこそ、これまで検診をためらっていた人々にとって、大きな希望となる可能性があるのです。

特に地方や医療資源が限られた地域において、このような「シンプルで安価、かつ精度の高い」スクリーニングは、がんの早期発見と生存率向上の切り札になるかもしれません。


まだ道の途中。でも、確実に近づいている

残された課題

もちろん、この技術にはまだ乗り越えるべき課題があります。
たとえば、良性腫瘍との区別や、飲食・喫煙の影響がどれだけ検査精度に関与するのかといった点です。
また、臨床試験と現実の利用環境では、対象者の条件も異なるため、実用化にはさらなる検証が求められます。

なお、この研究では、検査の2時間前の喫煙、1時間前の飲食やコーヒー・アルコール摂取を制限する条件が設けられていました。

進歩し続ける技術

しかし、研究チームはこうした課題に正面から取り組み、AIのさらなる改良や、より多くのがんへの対応、検査環境の最適化などを進めています。

未来のがん検診は、医療機関の壁を飛び越え、もっと私たちの身近な場所で行われるようになるかもしれません。


最後に:その一呼吸が、あなたの未来を変えるかもしれない

がんを「見つけてから治す」時代から「見つかる前に防ぐ」時代へ。

その大きな一歩を踏み出すきっかけが、まさか”犬の鼻”と”AIの脳”になるとは、誰が想像したでしょうか。

でも、だからこそ希望があるのです。
人間だけでは辿り着けなかった未来に、異なる命の力と、テクノロジーの進化が手を差し伸べてくれているのです。

次に、あなたが大きく深呼吸をしたとき、その呼吸の中に、未来の命を救うヒントが含まれているかもしれません。

参考:Non-invasive multiple cancer screening using trained detection canines and artificial intelligence: a prospective double-blind study

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