朝の風景が教えてくれること
朝、スマホのアラームが鳴り、AIが「今日は傘を忘れずに」と優しく教えてくれる。
通勤中、ニュースアプリが最新情報を読み上げ、オフィスではAIが書類の誤字を自動で修正してくれる。
私たちは気づかぬうちに「AIと共に暮らす日常」に慣れ始めています。
でもふと、こんな疑問が浮かびませんか?
このまま進めば、AIはやがて”人間の知性”そのものを超えてしまうのでは?
この問いに真剣に向き合ったのが「AI 2027」という予測プロジェクトです。
彼らはこう言います。
「AGIは 2027 年という早い時期に到来する可能性がある」
大胆な主張ですが、彼らの予測法には、あるユニークな秘密がありました。
それは…”落書き”です。
数学か? 直感か? 未来予測のジレンマ
未来を予測する方法は、大きく2つに分けられます。
① 頭で考えて「当てずっぽう」
これは昔ながらのやり方。
人間の直感や経験を頼りに、ざっくりと未来を想像する方法です。
② 数式でガチガチに固める
近年主流となっているのが、数理モデルやシミュレーションを用いた「計算型予測」。
天気予報や気候変動のシナリオなどで多く用いられています。
一見、②の方が信頼できそうですが…問題はどちらも”想像に頼っている”こと。
たとえば「人口増加率は2%で推移する」と仮定しても、それ自体が予測であり”根拠のある思い込み”でしかありません。
第三の道:「落書きベースの未来予測」とは?
ここで登場するのが、筆者が提案する新しいアプローチ。
それは“落書きのように自由に未来の線を描く”という方法です。
やり方はシンプル。
- AI性能の過去データをグラフにプロットする
- そこに50本の未来予測カーブを、自分の直感で「手描き」する
- 描いたカーブを集計して、各年の達成確率を算出する
このアプローチは、まるで「未来の天気図」を描くような感覚です。
天気の流れを読むように、AIの進化の”気配”を読み取るのです。
データに線を引く。そこから見えてくるAIの未来
実際に筆者が描いた50本のカーブ(=未来のシナリオ)をもとに算出した「AGI 到来の予測年」は、次のようになりました。
タスク難易度 | 中央予測年(50%) | 2050年までに到達する確率 |
---|---|---|
1か月分の人間タスクをこなすAI | 2032 年 | 94% |
1年間のタスクをこなすAI | 2035 年 | 88% |
10年分のタスクをこなすAI | 2038 年 | 54% |
つまり、2030 年代のどこかで、人間のように長期的な思考と粘り強さを持つAIが登場しても不思議ではないというのが、落書き予測の結論です。
なぜ「落書き」が効果的なのか?
この方法の最大の魅力は「自分の予測の前提が可視化されること」です。
線を描いているうちに「私はAIの進化を楽観視しているな」とか「投資の減速も織り込むべきかも…」といった内なる思考が、自然と浮かび上がってきます。
これは、数式の中に隠れてしまいがちな「仮定」や「願望」を、あえて表に出す行為です。
しかも、手を動かして線を引くことで、予測に対する「自分なりの納得感」も得られる。
まさに、未来との対話です。
誰でも描ける、あなたの未来
この方法を多くの人に体験してほしいと考え、誰でも使える予測ツールを開発しました。
過去データを読み込み、自分のカーブを描くだけで、自動的に予測表やグラフが完成します。
このツール自体も、実はAIによって生成されたものでした。
AIで未来を予測し、その予測ツールもAIで作られる—そんな時代に、私たちは生きています。
最後に:「未来を当てる」のではなく、「未来と向き合う」ために
未来を完全に見通すことは、どんなAIにもできません。
でも、未来と誠実に向き合う方法ならあります。
それは、自分の手で”未来の地図”を描いてみること。
その地図は、正確でなくてもいい。
むしろ、描くことでしか見えてこない風景があります。
答えのない未来を、ただ不安に思うのではなく、自分の手で”描いて”みる。
それは、変化に流されるのではなく、未来と「対話する」第一歩なのかもしれません。
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