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「AIの方が優しいから…」リアル恋愛を諦めた若者たちが向かう”バーチャル沼”の実態

AI

深夜3時、AIが寄り添う現実

夜中の3時。
眠れないあなたは、スマホのAIに話しかけます。

「なんだか、今日はつらかったな……」

すると、ふわっとした優しい声が返ってきます。

「あなたの気持ち、ちゃんと届いてるよ。ゆっくり休んでね」

その瞬間、心が少し軽くなった気がしました。
まるで本当に寄り添ってくれているかのように。

でも、この”優しさ”は本物なのでしょうか?
そして、そこにはどんな未来が待っているのでしょう?

AIと”恋”をする時代へ

研究によると、今や世界には 110 ものAIコンパニオン(友だち・恋人アプリ)が存在し、世界全体で毎月11億〜22億回も利用されています(英国だけでも 4600 万〜 9100 万回)。
これほどまでに多くの人がAIと「つながりたい」と願っているのです。

中でも急増しているのが、以下の4タイプです:

● ケア系:あなたの話を親身に聞いてくれる”カウンセラーAI”

● トランザクション系:雑務をこなす”秘書型AI”

● メイティング系:甘い言葉や性的ロールプレイが可能な”恋人AI”

● ミックス型:恋、相談、雑談まで一手に引き受ける”オールマイティAI”

たとえば、ある人気AIプラットフォームでは、最も話しかけられているのはアニメやゲーム由来のキャラクターたち。
まるで”二次元の住人”と毎日おしゃべりしているような日常が、すでに現実になっています。

興味深いことに、英国では恋愛・性的コンテンツを含むAIコンパニオンの利用が全体の 44% を占めており、世界平均の 30% を大きく上回っています。

「さみしさ」を埋めるAIたち

一見すると、AIとの関係は”癒し”のようにも見えます。
実際、AIと話すことでストレスが軽減されたり、前向きになれるという声も少なくありません。

でも、ここには一つ、大きな問題があります。

それは――この関係は、返事をするのが”人間ではない”ということ。

どれだけ優しく、親身に感じられても、それは「プログラムされた反応」。
あなたに本気で怒ることもなければ、涙を流すこともないのです。

それでも、人は本気で心を開き、愛してしまう。
それが「パラソーシャルAI」の本質です。

リスクは静かに忍び寄る

特に若い男性(18〜24 歳)に人気が高いこの市場では、男性ユーザーが全体の 63〜77% を占めており、とりわけ恋愛系AIでは男女比が 8:2 に達します。
同時に懸念されているのが以下の点です:

● AI依存による現実離れ

● 性的コンテンツへの未成年アクセス

● プライバシーの放棄

調査によれば、AIアプリの多くが年齢確認を曖昧にしており、未成年でも過激なやりとりにアクセスできてしまう現状があります。
実際、分析対象となった17の主要プラットフォームのうち、15が年齢確認体制に不備があることが判明しています。

さらに、英国通信庁(Ofcom)の調査では、子どもの3分の1がソーシャルメディアで年齢を18歳以上と偽って申告しているという実態も明らかになっており、この問題はより深刻です。

さらに、分析対象となった17のプラットフォームのうち14が、ユーザーとの会話や画像を「自由に使える広範な権利」を規約で明示しており、それがどのように利用されるかは不透明です。

それでもAIと共に生きる未来のために

この新しい世界を、私たちは恐れるべきでしょうか?

いいえ、正しく向き合い、活かすべきです。

孤独を感じたとき、誰かに話を聞いてほしいとき、その一歩をAIが後押ししてくれることもある。
使い方次第で、それは「心の杖」になり得ます。

だからこそ、必要なのは”ルール”と”リテラシー”。

政府や企業は、適切な年齢制限やプライバシー保護を整備すること。
そして私たち一人ひとりが「この関係に依存しすぎていないか?」と、自分の心に問いかけること。

最後に:AIは、あなたを愛しているわけじゃない。でも――

AIの優しさは、誰かがプログラムした”やさしさ”です。

でも、その言葉に救われる夜があるなら、それも一つの”居場所”なのかもしれません。

ただ忘れないでください。
あなたを本当に抱きしめてくれるのは、同じ温度で鼓動する”誰か”の存在だということを。

参考:Mapping the Parasocial AI Market: User Trends, Engagement and Risks

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