【AIの勝者が決まった分野、まだ戦いが続く分野】

──Elad Gil が語るAIビジネスの未来と戦略視点

「ChatGPT が使えるようになってから、仕事のやり方が変わった」

そんな声をさまざまな現場で耳にするようになってきました。
何か新しい時代が始まっている。そんな実感がする今、こう思う人も多いはずです。

「もうAIは手遅れなのだろうか」

しかし、その問いは、本当にそのままではないのです。

TechCrunch Disrupt 2025 で、著名投資家の Elad Gil さんが、現在のAIマーケットを観察し「勝者が決まった部分」と「まだ開けている部分」を明確に分析しています。

このブログでは、その見解をわかりやすくひもとき、誰もがAI時代のプレイヤーになれる可能性を考える手がかりを提供します。

現在、すでに市場が固まり、大手企業が先行している分野は、新規参入者にとって非常に高いハードルがある部分です。
Elad Gil さんは、そのような部分を次の分野に整理しています。

ファウンデーションモデル (Foundation Models)
- Google、Anthropic、OpenAI、xAI、Meta、Mistral など一握りの企業が勝者として確立
AI支援コーディング
- Cursor、Devin(Windsurf を買収)などのスタートアップと、Claude Code、OpenAI Codex などが先行
医療記録の文字起こし
- Abridge、Ambience などが重要なプレーヤーとして確立
カスタマーサポート
- Decagon、Sierra などが市場リーダーとして台頭

言うならば、これらの分野は「AI金脈」をすでに占有した大手が戦略を展開する、最重要企業地帯のようなもの。
ここに入り込むとすれば、それなりの資金や技術、ブランド力が必要です。

一方で、まだプレーヤーが確定していない「未制覇領域」も数多く存在します。
Gil さんは、次の分野に未来のチャンスを見出しています。

これらの分野は、例えば金鉱発見のまだ行われていない「AIのゴールドラッシュ前夜」のような状態です。
別の言い方をすれば、現場のニーズにピンポイントで切り込むことができれば、一気にリーダーに駆け上がる可能性を秘めています。

Gil さんは、急成長だけでは勝者の証明にはならないと指摘しています。
大企業が「AI戦略を考えろ」と命令を出しているため、多くの企業が試験的にAIツールを導入しています。
しかし、それが定着するかどうかは別問題です。

大切なのは、試験段階を超えて「本当に機能している」製品を作ること。
例えば、法務AI分野のHarveyは、2025 年だけで評価額が30億ドルから50億ドル、そして80億ドルへと急上昇しました。
これは「本当に機能している」証拠だと Gil さんは評価しています。

たとえ小さな分野でも「自分たちなりの戦場」を見つけられれば、そこからの成長は十分可能です。

「勝者が決まった分野」を知ることは「自分が勝てない理由」を知ること。

そして「まだ勝者がいない分野」を見極めることは「これから勝者になるための戦略」を組み立てることでもあります。

AI時代は、すでに始まっている。
でも、未来はまだ「自分次第の挑戦」を待っているのです。

さあ、次の勝者は誰なのか。それを決めるのは、他の誰かではなく、あなたなのです。