「買い物をする」って、こんなに自然な行為だったっけ?
たとえば、あなたが夕食のメニューに悩んでいて「今夜はカレーにしようかな」と ChatGPT に相談したとします。
すると、必要な食材のリストが返ってきて、こう続くのです。
「この材料、一括で買えるようにしました。PayPal で決済しますか?」
…え、もう買えるの?
しかも、レシピ相談の”流れの中”で?
これは未来の話ではなく、2026 年から始まる「新しい日常」なのです。
会話が、あなたの「買う」をサポートする時代
この10月、PayPal と OpenAI(ChatGPT の開発元)が発表した新機能が話題になっています。
それは、ChatGPT のチャット画面内で買い物ができるというもの。
何かが欲しいとき、
何かを選びたいとき、
何かに迷っているとき—
ChatGPT に相談すると、関連商品を提案してくれて、その場で PayPal を使って決済まで完了できるのです。
スマホの画面を何度も切り替えたり、カード情報を入力したり…そんな手間はもう不要。
「検索」も「注文」も、ぜんぶ“会話の延長線上”で完結するのです。
“支払い”という言葉が、少し古く感じるかもしれない
想像してみてください。
あなたが友人に「これ買おうかな」と話しかけたとき、彼がサッとその商品を出して「PayPal で買えるようにしといたよ」と言う。
そんな、人とAIの垣根を感じさせないスムーズな体験。
今回の新機能は、まさにそれに近い感覚です。
単なるAIではなく“買い物を共に考えてくれるパートナー”のような存在が、日常の中にやってきたのです。
PayPal はなぜここまで自然な体験を実現できたのか?
PayPal は、これまでも「簡単で安全なオンライン決済」の代表格でした。
ただ、今回の取り組みはさらに一歩踏み込み“会話の中に溶け込む決済体験”を可能にしました。
今回 PayPal が採用したのは、OpenAI が開発したオープンソース規格「Agentic Commerce Protocol (ACP)」。
これにより、マーチャント(販売者)の商品がAIアプリ内で利用可能になり、ユーザーはAIエージェントを使って買い物ができるようになります。
一方、OpenAI 側も9月に発表した「Instant Checkout」機能により、ChatGPT の役割を単なる質問回答ツールから、人の生活をサポートする”会話型インターフェース”へと進化させています。
この機能により、注文、配送、支払い情報の確認から購入完了まで、ChatGPT を離れることなく行えるのです。
両社の強みが重なったからこそ「欲しいものを探し、買う」という一連の行動を1つの会話で完了するという新しいUXが生まれました。
セキュリティは? もちろん万全です
買い物が手軽になるほど、セキュリティが心配になるのも当然ですよね。
この点もご安心を。
- 取引は PayPal ウォレットを通じて行われます
- 買い手保護、売り手保護、紛争解決のサービスも提供
- AIが”勝手に買う”ことはなく、必ずユーザーの同意を求める設計
つまり、安全性は従来のオンライン決済と同等かそれ以上。便利さと安心感の両立が実現されています。
「ほしい」が「すぐ届く」に変わる、圧倒的な未来体験
この機能、買い物の”概念”を変えてしまうかもしれません。
2026 年からは、PayPal 製品を使用するマーチャントの商品が ChatGPT 上で検索可能になります。
最初は、アパレル、ファッション、美容、住宅改修、電子機器などのカテゴリーから始まる予定です。
たとえば—
- ChatGPT に「母の誕生日プレゼント、何がいいかな」と相談する
- 気に入った商品をそのまま注文
- ギフトラッピング&日時指定も会話内で手配完了
まるで、気の利く店員がチャットの中にいる感覚。
しかも、24時間・365 日、世界中どこでも。
マーチャント側も、統合作業は不要。
PayPal がバックグラウンドでマーチャントのルーティングと決済を処理してくれます。
AIコマースの広がり:PayPal の戦略
PayPal は、AI対応のショッピング体験における決済パートナーとしての地位を確立しようと積極的に動いています。
今年5月には Perplexity(AI検索ツール)と提携し、検索ツール内でのチェックアウトを可能に。
9月には Google の Agent Payments Protocol を採用し、Google 製品への統合も進めています。
人々が日常的にAIアプリを使うようになるにつれ、PayPal はその決済基盤として欠かせない存在になろうとしているのです。
まとめ:「会話」が買い物のインターフェースになる日
この協業が描くのは、AIがただのツールから「共に考え、行動してくれる存在」へと進化していく未来。
買い物はもはや”行動”ではなく”会話”になるのかもしれません。
キーボードを叩くことなく、アプリを開くことなく、あなたの「これ欲しい」に、AIがすぐ応えてくれる時代。
それは、効率化の話ではなく、人の思考や気持ちの流れに寄り添うテクノロジーの形なのです。
PayPal CEO の Alex Chriss 氏はこう述べています。
「毎週数億人が ChatGPT を日常のタスクに利用しており、4億人以上が PayPal で買い物をしています。OpenAI と提携し、Agentic Commerce Protocol を採用することで、PayPal は顧客がチャットからチェックアウトまで数回のタップで完結できる決済とコマース体験を実現します」
参考:PayPal partners with OpenAI to let users pay for their shopping within ChatGPT
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