朝、仕事前にコーヒーを飲みながら「今日の天気と予定、ついでにレシピも調べておこう」とスマホを手に取る。
でも、検索して、サイトを開いて、比較して…なんだかんだで10分以上が経っている。
そんな経験、ありませんか?
もし、自分の代わりに「探して」「読んで」「まとめて」くれる相棒のようなAIがいたら?
Google は、まさにそんな未来を実現しようとしています。
2025 年9月、Google は Chrome ブラウザでの Gemini 機能をアメリカの全ユーザーに拡大し、新しい”エージェンティック・ブラウジング”機能を今後数ヶ月以内に導入すると発表しました。
これは単なるアップデートではありません。
私たちの「インターネットとの向き合い方」を根本から変える、大きな一歩です。
「エージェンティック・ブラウジング」って何?
「エージェント」と聞くと、映画のスパイやビジネスの代理人を想像するかもしれませんね。
Google が言う「エージェンティック・ブラウジング(agentic browsing)」とは、AIがあなたの代理人となってウェブを探索してくれる新しい仕組みのことです。
たとえば、こんなことが可能になります:
- 「来週の旅行、雨が降りそうだけど、現地でできるおすすめのアクティビティを教えて」
→ Gemini が天気を確認し、レビューやガイド記事をもとにおすすめを提案 - 「新しいiPhoneとPixel、どっちが買い?」
→ スペック比較、評判、価格、そして使い方に合わせたアドバイスをまとめてくれる
つまり、検索する手間や情報の海に溺れるストレスを、AIが肩代わりしてくれるのです。
現在利用可能な機能と今後予定されている機能
現在すでに利用可能:
今回のアップデートで、アメリカの Mac および Windows 版 Chrome ブラウザユーザー(英語設定)向けに基本的なGemini機能が正式リリースされました。
これまでは有料の Google AI Pro や Google AI Ultra の契約者のみに限定されていましたが、今回から全ユーザーに拡大されています。
画面右上の「Gemini アイコン」をクリックするだけで、ウェブページの内容について質問や相談が可能になります。
使い方はとてもシンプル:
- Gemini アイコンをクリック
- 気になることを自然な言葉で入力(例:「このレシピをグルテンフリーにして」)
- Gemini が即座に情報を集め、回答を提示
現在でも、複数のタブにわたって情報を比較・要約したり、ページ内の複雑な情報を分かりやすく説明してくれたりします。
今後数ヶ月以内に追加予定:
Google は、より高度な「エージェンティック・ブラウジング」機能を今後数ヶ月以内に導入予定と発表しています。
Gemini が目指す未来:ただの検索AIではない
Gemini の目指す先は、単なるチャットボットではありません。
Google はこのAIを「ユーザーとともに考え、行動し、学ぶ存在」に進化させようとしています。
TechCrunch の記事によると、Gemini は今後数ヶ月以内に以下の機能が追加される予定です。
- 過去に閲覧したウェブページの検索
(「先週見たウォールナットの机はどこのサイトだっけ?」といった質問に回答) - Google カレンダーや YouTube、マップとの深い連携
- 自動的な実務作業の支援
(美容院の予約、週間の食材注文など、サイトへのナビゲート、カートへの追加まで行い、最終的な決済は人間が確認) - アドレスバーへのAIモード機能の統合
(「横向きで寝ることが多く、時々腰痛がある私に、マットレスの種類を比較表にして」といった複雑な質問が可能) - AI生成詐欺の検出・防止機能
(偽のウイルス警告や詐欺的な景品企画などを検出) - パスワード自動リセット機能
(データ漏洩で露出したパスワードを、Coursera、Spotify、Duolingo、H&M などの対応サイトでワンクリックで新しいパスワードに変更)
まるで「知的な秘書」や「優秀なリサーチャー」が常に隣にいてくれるような感覚です。
など、より実務的なサポート役へと進化していく構想が発表されています。
これは「検索エンジン」から「思考エンジン」への大きなシフトです。
なお、OpenAI も今年、自動的にタスクを実行するAIエージェント「Operator」を発表しており、この分野での競争が激化しています。
「情報を探す」から「結果を得る」へ
これまで私たちは、何かを知りたければ検索して、読む、比較する、理解するという一連のプロセスを自分で行う必要がありました。
でもこれからは、Gemini のようなAIがその多くを引き受けてくれます。
私たちはもっと自由に「本当にやりたいこと」に時間とエネルギーを注げるようになるのです。
情報を「探す」時代から、情報を「活用する」時代へ。
おわりに:未来はもう、始まっている
「そんなの、まだ先の話でしょ?」と思ったかもしれません。
でも、基本的な Gemini 機能はもう私たちの手の中にあります(アメリカの英語ユーザー限定ですが)。
しかも、Chrome という日常的に使うツールの中に。
より高度なエージェンティック機能は今後数ヶ月以内に追加予定ですが、ある朝ふと、いつものブラウザを開いたその瞬間に、すでに始まっている変化を体験できるのです。
これからのウェブ体験は「検索」ではなく「対話」から始まります。
さあ、あなたは Gemini に何を聞いてみますか?
参考:Google brings Gemini in Chrome to US users, unveils agentic browsing capabilities, and more
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