昨日見た SNS の短い動画が、なぜかずっと心に残っている。
たった15秒なのに、なぜあんなに印象的だったのか—。
そんな経験、ありませんか?
私たちは日々、無数の映像と出会い、感情を動かされながら暮らしています。
そんな中「映像を創る」という行為が、これから驚くほど身近になるとしたら—あなたは、どんな未来を想像しますか?
2025 年5月20日、Google I/O 2025 開発者会議において、Google は新たなAIモデル「Veo 3」を発表しました。
これは単なる進化ではありません。
映像制作の概念を根底から変えてしまうような、革命的な一歩です。
「映像を描く」AI、Veo 3 とは?
Veo 3 は、テキストや画像から高品質な動画を生成できるAIモデルです。
特徴的なのは、その映像表現力の豊かさ。映画のようなシネマティックな質感、複雑なカメラワーク、そして驚くほど自然な動きまでも再現してしまうのです。
まるで頭の中のイメージをそのままスクリーンに映し出すかのようなこの技術は、まさに「創造の民主化」と言えるかもしれません。
音まで創る——音楽と効果音の自動生成
Veo 3 の驚きは映像だけにとどまりません。
動画にぴったり合ったサウンドトラックや効果音、さらには会話(ダイアログ)までも自動生成するのです。
これは、YouTube クリエイターや映画制作者にとってはもちろん、学校のプロジェクトや SNS 動画を作る一般ユーザーにとっても、極めて大きな意味を持ちます。
Google DeepMind の CEO、Demis Hassabis は「初めて、動画生成の無声時代から抜け出す」と述べています。
Veo 3 は生成した動画のピクセルを理解し、自動的にサウンドをクリップと同期させることができるのです。
実用化の波——誰でも使えるクリエイティブの力
Veo 3 は発表と同日から GoogleのGemini チャットボットアプリで利用可能となっています。
ただし、利用するには Google AI の Ultra プラン(月額 $249.99)の契約が必要です。
つまり、遠い未来の話ではありません。
これは、すでに「使える」テクノロジーなのです。
たとえば、7歳の娘が描いた”空飛ぶネコ”の絵にナレーションを添えて、10秒の冒険ムービーを作る。
祖父母に送ったら、涙を流して喜んでくれた—そんな未来が、もう始まっているのです。
あるいは、旅行先で撮った写真にエッセイ風の語りを加えて、まるでドキュメンタリー映画のような作品に仕上げる。
Veo 3 は、誰にとっても”創造する喜び”の扉を開いてくれます。
「創ること」は、特別な誰かだけのものじゃない
これまで、映像制作といえば高価な機材、専門的なスキル、そして膨大な時間が必要でした。
でも、Veo 3 の登場によって、そのハードルは大きく下がります。
なお、ディープフェイク対策として、DeepMind は独自のウォーターマーク技術「SynthID」を使用し、Veo 3 が生成するフレームに目に見えない標識を埋め込んでいます。
絵を描くように、言葉を紡ぐように、映像を創る—。
そんな未来が、もう始まっているのです。
最後に——あなたの頭の中にある世界を、映像にしよう
Veo 3 は、AIがもたらす恐るべき進化の象徴であると同時に「人が何かを表現したい」という根源的な欲求に寄り添う存在です。
また、同時に Veo 2 の新機能も発表され、キャラクター、シーン、オブジェクト、スタイルの画像を与えて一貫性を向上させたり、カメラ動作を理解したり、オブジェクトの追加・消去、フレームの拡大なども可能になりました。
私たちの想像力は、AIと手を取り合うことで、今までにない表現の世界へと羽ばたきます。
次に映像を観たとき、こう思うかもしれません—「これ、自分にも創れるかもしれない」。
そしてそれは、ほんとうに、現実のことなのです。
あなたの心にある、まだ誰も見たことのない物語。
それを映像にする日は—今日かもしれません。
参考:Veo 3 can generate videos — and soundtracks to go along with them
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