ある日、Amazonで頼んだ商品が驚くほど早く届いたとき「どうしてこんなに早いんだろう?」と疑問に思ったことはありませんか?
その裏には、人間の手では追いつけないスピードと正確さで働く、倉庫の「影の主役たち」がいます。
そして今、その主役のひとつに、空を飛ぶドローンが加わろうとしています。
今回は、そんな未来を現実のものにしているスタートアップ「Gather AI」と、彼らがつい最近受けた大型投資のニュースについてご紹介します。
ドローンとAIがタッグを組んで、倉庫という「静かな戦場」をどう変えようとしているのか、あなたも少し覗いてみませんか?
Gather AIって、何をしている会社?
「ドローン」と聞くと、空撮や農業、防災などが思い浮かぶかもしれません。
でもGather AIのドローンは、倉庫の中を飛び回って棚の在庫をチェックするという、ちょっと意外な使われ方をしています。
従来、倉庫の在庫確認は、人がリフトに乗って棚を一つずつ目視で点検するという、時間も労力もかかる重労働でした。
しかも、ミスも起きやすい。
ですがGather AIのドローンは、カメラとAIを搭載していて、自律的に倉庫を飛び回り、在庫のバーコードや位置情報を読み取り、データとして即座に可視化します。
これはまさに、空飛ぶ在庫係。
人間の代わりに、素早く、正確に、疲れ知らずで働いてくれる頼もしい存在です。
4,000万ドルの大型資金調達、その意味とは?
2026年2月、Gather AIはシリーズBラウンドで4,000万ドル(約60億円)の資金調達を成功させました。
リード投資家は、元Salesforce共同CEOのキース・ブロック氏が率いるSmith Point Capitalです。
この投資は単なるお金の話ではありません。
これは、ドローンによる倉庫改革の「本気度」を示すシグナルです。
なぜ今、これほど注目されているのでしょうか?
世界中の倉庫が「目」を求めている
Gather AIの顧客には、Kwik Trip、Axon、GEODIS、NFI Industriesといった大手企業が名を連ねています。
特にeコマースやグローバルサプライチェーンの混乱が続く中、倉庫は「商品がどこにあるか」を一秒でも早く知る必要があります。
Gather AIのドローンは、これまでのように数週間かかっていた棚卸しを、わずか数日で完了させることができるのです。
「AI × 自律飛行」の力が物流の限界を超える
Gather AIのドローンがすごいのは「人が操縦しなくてもいい」こと。
あらかじめマップされた倉庫の中を、AIが自分で判断しながら飛び回り、棚の情報を読み取っていきます。
しかも彼らのAIは、ただランダムにスキャンするのではなく「好奇心を持つ」のです。
CEOのサンカルプ・アローラ氏が博士課程で研究していたのは、まさにこの「飛行ロボットをいかに好奇心旺盛にするか」という技術。
ドローンは箱やバーコード、ワークフローに対して「好奇心」を持ち、在庫切れや置き間違い、安全上の問題を予測・発見します。
また、彼らのAIは大規模言語モデル(LLM)とは異なるアプローチを採用しています。
古典的なベイズ技術とニューラルネットワークを組み合わせることで、LLMのような「幻覚」問題を起こすことなく、確率ベースの判断を行います。
この自律性こそが、人手不足や業務効率化という現代の課題に対する強力なソリューションになります。
まるで、暗闇の中を飛びながらも、自分の行き先が分かっているコウモリのように、彼らのドローンは迷うことなく棚を巡回します。
興味深いことに、2025年12月にはNebius Robotics賞のVision AIおよびStreaming Video Analytics部門で受賞も果たしています。
まとめ:倉庫の「空」に、未来が広がる
私たちが普段意識することのない「倉庫」ですが、そこには商品と情報が渦巻く、もう一つの経済の中枢があります。
Gather AIは、そんな裏舞台に革新をもたらす存在です。
現在約60人の従業員を抱え、今回の資金調達で累計調達額は7,400万ドルに達しました。
Bain Capital Ventures、XRC Ventures、Hillman Investmentsといった投資家たちも、この技術の将来性に期待を寄せています。
空を飛ぶドローンが、ただの機械ではなく「倉庫の目」として機能し始めたとき、私たちの生活はさらにスムーズに、そして無駄の少ないものになっていくでしょう。
未来は、意外と私たちの頭上で静かに羽ばたき始めているのかもしれません。
参考:Gather AI, maker of ‘curious’ warehouse drones, lands $40M led by Keith Block’s firm
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