ある日、仕事帰りの電車でふとこう思ったことはありませんか。
「もし、資料づくりも、コードの修正も、Webの入力作業も、全部”もう一人の自分”が手伝ってくれたら…」と。
生成AIはここ数年で一気に身近になりました。
でも現場で使うと、最後の最後でつまずくことがあります。
長い仕様書を読ませると途中で話が途切れたり、PC操作はできると言いながらフォーム入力で迷子になったり、コードレビューは鋭いのに修正の手が雑だったり。
そんな「あと一歩」を埋めにきたアップデートが、Anthropicの Claude Sonnet 4.6 です。
2026年2月17日に発表され、Free/Pro プランと Claude Coworkでデフォルトモデルとして提供される形になりました。
しかも価格はSonnet 4.5から据え置きです。
この記事では、公式発表を丁寧に読み解きながら、初心者にも分かる言葉で「Sonnet 4.6で何が変わるのか」をストーリー仕立てで解説します。
Claude Sonnet 4.6を一言でいうと「日常使いの強い主役」
AnthropicはSonnet 4.6を「最も有能なSonnet」と位置づけ、コーディング、コンピュータ操作、長文脈推論、エージェント的な計画、知的作業、デザインまで”総合的に底上げした”と説明しています。
ここで大事なのは「特定の技能だけ突出」ではなく、仕事の流れを止める原因になりがちな部分が、まとめて改善されている点です。
たとえるなら、短距離だけ速い助っ人ではなく、荷物運びも、道案内も、段取りもできる旅の相棒に近づいたイメージです。
さらに、Claude Codeの早期テストでは「Sonnet 4.6がSonnet 4.5より良い」とユーザーが感じた割合が約70%だった、と公式は述べています。
体感の改善が指標として出ているのは、現場目線ではうれしいポイントです。
1Mトークン長文脈は何がうれしい?「机の上が広くなる」感覚
Sonnet 4.6の目玉のひとつが、1Mトークンのコンテキストウィンドウ(ベータ) です。
「トークン」はざっくり言えば、AIが読む文字量の単位。
1Mはとても大きく、公式は「コードベース全体」「長い契約書」「大量の研究論文を一度に入れられる」と説明しています。
これを日常にたとえるなら、小さなカフェテーブルで書類を広げていた状態から、会議室の大きな机を使えるようになる感じです。
机が広いと何が起きるか。途中のページを見失いにくくなるし、書類同士を見比べて矛盾にも気づきやすい。
AIも同じで、長い文脈を「入れられる」だけでなく、その文脈をまたいで推論できることが重要だと、Anthropicは強調しています。
実例として、仮想ビジネスを運営して利益を競う評価(Vending-Bench Arena)で、Sonnet 4.6が「最初の10ヶ月間は容量拡大に大きく投資し、終盤で利益重視へ鋭く切り替える」という”時間をまたぐ戦略”を取った、という話が紹介されています。
これは、長文脈が「長い文章を飲み込むため」だけではなく、長い計画を保持して実行するために効いてくる、という示唆でもあります。
「PCを使えるAI」がいよいよ仕事道具になる:OSWorldと現実の差
もう一つの注目は コンピュータ操作(computer use) です。
Anthropicは2024年10月に汎用のコンピュータ操作モデルを業界で初めて紹介し、当時は「まだ実験的で、面倒で、エラーもある」としつつ改善を見込んでいた、と振り返っています。
その進歩を示す代表指標として出てくるのが OSWorld です。
Chrome、LibreOffice、VS Codeなど実ソフトを使うタスクを、シミュレートされたPC上でこなすベンチマークです。
公式は、Sonnet系モデルが16か月にわたってOSWorldで着実に伸びたとし、ベンチマークだけでなく「複雑なスプレッドシートの操作」「複数ステップのWebフォーム入力をまたいで複数のブラウザタブにまとめ上げる」などで、人間レベルの能力が見え始めている、と述べています(ただし最熟練の人間にはまだ及ばないとも明記)。
ここで初心者が押さえるべきは「AIがPCを使える=万能」ではない、という点です。
PC操作は現実の画面が相手です。
ボタンの位置が変わる、読み込みが遅い、入力欄が見つからない、ログインが必要、権限が足りない。
こういう”生活感のある困難”が混じります。
だからこそ、AIがPCを扱う性能が上がると、世界が変わります。
例えば、あなたが毎月やっている定型作業があるとして「やり方は分かっているのに手が足りない」ことってありますよね。
Sonnet 4.6は、そこに現実味を持って入ってくる存在です。
便利になるほど怖くなる「プロンプトインジェクション」と、Sonnet 4.6の向き合い方
PC操作が強くなると、同時にリスクも増えます。
Anthropicが明確に触れているのが プロンプトインジェクション(prompt injection) です。
これは、Webページなどに紛れ込ませた指示でAIをだまして、意図しない行動をさせようとする攻撃です。
公式は、Sonnet 4.6がSonnet 4.5に比べて耐性が大きく改善し、Opus 4.6と同程度だと述べています。
また、より詳しい評価や安全性の考え方は System Card にまとめられており、そこで「能力と安全関連特性の評価」や「Responsible Scaling Policyに基づくリリース判断」を説明しています。
初心者向けに一言でいうと”便利な自動運転ほど、ガードレールが重要” ということです。
あなたがAIに任せる範囲を決め、重要操作は確認を挟む。
組織なら監査や権限設計も必要になる。
Sonnet 4.6は、その現実に合わせて「強くしつつ、守りも固めた」方向性が読み取れます。
開発者・ビジネス利用の現場で効く「Product updates」まとめ
Sonnet 4.6の話はモデル性能だけでは終わりません。
運用の”道具箱”も整理されています。
まず、adaptive thinking と extended thinking の両方に対応し、状況に応じて考える量を調整できるようになりました。
あわせて context compaction(ベータ)では、会話が長くなって上限に近づくと古い文脈を自動要約して実効コンテキストを伸ばしてくれます。
API の web search / fetch も進化しており、検索結果をフィルタ・処理するコードを自動で書いて実行し、関連情報だけをコンテキストに残すことでトークン効率と品質を改善しています。
さらに code execution、memory、programmatic tool calling、tool search などがGA(一般提供)となりました。
難しそうに見えますが、たとえるならこうです。
以前は「賢いけど片づけが苦手な秘書」だったのが、Sonnet 4.6周りでは「要点を自動でファイリングし、必要な書類だけ机に出してくれる秘書」へ寄ってきています。
価格と提供範囲:無料でもデフォルト、APIは claude-sonnet-4-6
現実的に一番うれしいニュースはここかもしれません。
Free/Pro プランと Claude Cowork では Sonnet 4.6 がデフォルトになりました。
価格は Sonnet 4.5 と同じ $3/$15 per million tokens からで、開発者は API で claude-sonnet-4-6 を指定して利用できます。
つまり「性能が上がったから値上げ」ではなく、同じ予算で一段良い相棒に乗り換えられる設計です。
使いどころの具体例:初心者でも今日から効く3シーン
1)長い資料の読み合わせ(契約書、仕様書、議事録)
1Mトークン長文脈が活きます。
章をまたいだ矛盾チェックや、複数資料の突合に向きます。
2)コードレビューとバグ取り
企業ロゴとともに紹介されているコメントでは、バグ検出の改善や、より多くのレビューを並行できることが語られています(コストを上げずに、という文脈も含む)。
3)PC操作を伴う定型業務(フォーム入力、スプレッドシート操作)
OSWorldでの進歩、そして実務タスクへの手応えが書かれています。
ただし重要操作は、最初は小さく任せて、確認を挟むのが安心です。
まとめ:Sonnet 4.6は「賢さ」より先に「頼もしさ」を更新してきた
Claude Sonnet 4.6の印象を一言でまとめるなら”賢いAI”から”任せられるAI”への移動です。
1Mトークンで、机が広がる。
PC操作が実用域へ近づき、仕事の流れに入ってくる。
便利さと同時に、プロンプトインジェクションなど現実のリスクにも向き合う。
そしてFree/Pro プランでもデフォルトとなり、価格は据え置き。
最後に、読後感としてこの言葉を置いておきます。
AIは魔法ではなく、道具です。
でも道具が”相棒”に変わる瞬間、あなたの時間は取り戻せます。
Sonnet 4.6は、その瞬間を少しだけ現実に近づけたモデルだと思います。
コメント