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2025 年、AIが「失敗から学ぶ」ように。ダーウィン進化論×人工知能の衝撃結果

AI

あなたが最後に「自分で自分を育てていく何か」に驚いたのはいつですか?

たとえば赤ちゃんは、言葉も道具の使い方も教えられながら、やがて自分で学び、自分の力で世界を切り開いていきます。
もし、そんな”自律した進化”をAIが実現できたら──そんな夢のような話を、現実の一歩手前まで持ってきた研究が発表されました。

その名も「Darwin Gödel Machine(ダーウィン・ゲーデルマシン、以下 DGM)」。

「えっ、難しそう?」
大丈夫です。
今日はこの革新的なAI技術を、やさしく、物語のようにお話しします。

AIはなぜ”自分で進化できない”のか?

現在のAIのほとんどは、ある意味”ガチガチ”です。
人間が設計した枠組みの中で学習し、そこから大きくはみ出すことはありません。
たとえば画像を認識したり、文章を翻訳したりするモデルも、その学習方法や機能の構成はすべて「人間の手」で作られた設計図に従っています。

このままだと、AIの進化は人間の手によって”階段を一段ずつ登る”ように進みます。
つまり、AIが自ら階段を作り、登ることはできないのです。

でも、科学って、違いますよね?

科学の発展は、過去の発見に新しい発見を重ねていく「積み重ね」です。
そして時には、思いがけない”回り道”や”寄り道”が、新たな扉を開きます。
AIもそんなふうに、回り道をしながらでも自ら進化できるようになったら、きっと世界は変わるはずです。

ダーウィン×ゲーデル=自分でコードを書き換えるAI

研究者たちが考えたのは、AIが自分の設計図(=コード)を自分で書き換えるというアプローチです。

ここで登場するのが「ゲーデルマシン」という理論的なAIモデル。
これは「自分で自分を改善する方法を数学的に証明できたら、それを実行する」仕組みです。
でも実際には、そんな証明ができるのはごく一部で、実用には向きませんでした。

そこで研究者たちは一歩譲って、”証明”ではなく”実験で確かめる”方法を採用しました。
AIが自分のコードを改良したら、それをベンチマークテスト(性能チェック)で確認し、良かったらそのまま採用する。
まるで、生物の進化のように「突然変異 → 生き残り」を繰り返す形です。

この「進化」と「自己改善」の仕組みを合わせ持つのが、ダーウィン・ゲーデルマシン(DGM)です。

DGM はどうやって”進化”するのか?

DGM は、最初はたった1つの「コーディングエージェント」からスタートします。
そこから以下のサイクルを繰り返します。

進化の4つのステップ

  1. 自分のコードを読み直し、自分で改善案を考える
  2. 自分自身を改良するコードを書き換える
  3. 書き換えた後の自分をベンチマークでテストする
  4. 良かったらその改良を採用し、記録する

そしてこのプロセスを80回繰り返したところ、DGM は劇的に進化しました。
具体的には、ある課題(SWE-bench)での成功率が 20% から 50% に、別の課題(Polyglot)では 14.2% から 30.7% にも跳ね上がったのです。

驚くべきは、DGM が「自分で、進化に必要なツール」まで改善していったこと。
たとえば、コードの一部だけをうまく書き換える機能や、複数の修正案を自分で比較・評価する機能まで自力で組み込んでいったのです。

遠回りこそが、進化の近道になる

このシステムが本当にすごいのは”うまくいかなかった改良”も捨てずに残しておくところです。
進化のアーカイブを保ち、いつでもその”過去の枝分かれ”からやり直せます。

これはまるで、科学者たちが昔の仮説や失敗から新しい発見を生み出すようなプロセスです。

実際に、実験の第4回目と第56回目で、エージェントのスコアが一時的に親よりも低下したにも関わらず、DGM はその経路に沿って革新を探求し続け、最終的にはすべての前任者を上回る新しいエージェントを作り出すことができました。
そう、DGM は”最短ルート”だけでなく”面白い寄り道”も評価するのです。

AIがAIを育てる未来に向けて──でも、安全第一で。

もちろん、自己改良を繰り返すAIには慎重さが必要です。

今回の研究では、すべてのエージェント実行と自己修正プロセスを安全な”サンドボックス”内で行い人間の監視のもとで評価と管理を徹底していました。
また、すべての変更履歴が記録され、いつ・どのように進化したかを追える仕組みになっています。

読後に残る、未来への問い

私たちは長い間、AIに”教える”側でした。
でも、DGM のように、AIが”自分で学び、育ち、進化する”未来が少しずつ見えてきています。

科学と同じように、発見の連鎖が止まらない──そんなAIが現れたとき、私たちはどんな役割を担うべきなのでしょうか?

未来を作るのは、人間か。
それとも、AIか。
もしかしたら、それは「人間とAIが共に育ち合う」という、新しい時代の幕開けなのかもしれません。

参考:Darwin Godel Machine: Open-Ended Evolution of Self-Improving Agents

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