「どうして数学って、こんなに難しいの?」
机に向かっていた中学生の私は、何度もそうつぶやいていました。
数字の羅列、意味のわからない記号、問題を解くたびに深まる挫折感。
あのころの私に「AIがあなたの苦手を解き明かす時代が来るんだよ」と伝えても、きっと信じてもらえなかったでしょう。
でも今、その未来が確かに始まろうとしています。
数学の壁に挑むAI「DeepSeek Prover」
2025 年4月30日、中国のAI開発企業 DeepSeek が新たな一歩を踏み出しました。
彼らの密かに更新した「DeepSeek Prover V2」モデルは、数学の証明と定理解決に特化したAIです。
技術的には、このモデルは DeepSeek の 671 億パラメーターを持つV3モデルをベースにしており、専門家混合(Mixture-of-Experts、MoE)アーキテクチャを採用しています。
パラメーターはモデルの問題解決能力に大まかに対応し、MoE はタスクをサブタスクに分解して、小さな専門「エキスパート」コンポーネントに委任します。
DeepSeek は以前、2024 年8月に最後の Prover の更新を行い、その時点では形式的な定理証明と数学的推論のためのカスタムの公開AIモデルとして説明していました。
なぜ、注目すべき進化なのか?
DeepSeek Prover V2 と、その蒸留バージョンはAI開発プラットフォーム Hugging Face にアップロードされました。
このようなAIモデルの進化は、複雑な数学的問題の解決において重要な一歩です。
DeepSeek は最近、汎用モデルであるV3のアップグレード版をリリースし「推論」モデルR1もまもなく更新される予定です。
また、ロイター通信によると、DeepSeek は初めて外部からの資金調達を検討しているとされています。
“解く力”は、誰かを助ける力になる
この技術が今後どう使われていくのか?
それを想像するだけで、胸が熱くなります。
たとえば、数学が苦手な子どもたちに、わかりやすく、丁寧に問題を解いてみせる家庭教師AIとして活躍する未来。
あるいは、研究者が複雑な数式の検証を行う際、AIが”ミスのない計算パートナー”として力を貸してくれる未来。
もっと言えば、医療、金融、工学といった分野で、数学的思考を求められるあらゆる現場において、DeepSeek のようなAIが「知の共犯者」となっていく未来。
これは、AIがただ便利なツールになるという話ではありません。
それは「苦手だった自分」を救い「まだ届かない誰か」に知の光を届ける物語でもあるのです。
最後に:あなたが解けないとき、AIが隣にいる
AIは人間の代わりになるためではなく、人間の可能性を広げるために存在しています。
DeepSeek の進化は、そのことを改めて教えてくれます。
今、あなたがもし何かに「わからない」「できない」と感じているとしたら、そのすぐ隣に「一緒に考えてくれる存在」が生まれつつあるということです。
かつての私がそうだったように、どこかでつまずいている誰かの隣に、このAIが寄り添えますように。
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