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「市販薬2つでがん細胞が消える?」AIが発見した奇跡の組み合わせに医学界騒然

AI

ある研究者は、深夜の実験室でふと思いました。

「もし、AIが”科学者のひらめき”を生み出せたら……?」

それは、まるで夢物語のように聞こえます。
科学的な仮説は、人間の知識、経験、そして直感の融合から生まれるもの。
AIにそんな「閃き」が持てるのか――長年、誰もが疑問に思ってきたことです。

けれども、その夢が、いま静かに現実になろうとしています。

科学者の”相棒”としてAIが登場した日

イギリスの研究チームは、大規模言語モデル「GPT-4」に、こんなお願いをしてみました。

「乳がん細胞にだけ効果があり、正常な細胞を傷つけない薬の組み合わせを考えてください。しかも、がん治療用の薬じゃなくて、市販されている普通の薬でお願いします」

AIにとっては、まるで”針の穴に糸を通す”ような難題。
でも GPT-4 は、ひるみませんでした。

まるで、科学論文を読み漁った名探偵のように、AIは12組の薬のペアを提案。
それぞれの組み合わせに対して「この薬は細胞の膜にこう作用し、この薬は酸化ストレスを強めるから、がん細胞にとっては……」と、まるで自ら思考したかのように説明を添えてきました。

意外なペアが”がん細胞を狙い撃つ”

その中のひとつ、例えば「ジスルフィラム(アルコール依存症治療薬)」と「シンバスタチン(高コレステロール治療薬)」のペア。

いずれも、がん治療とは無関係に思える薬です。
しかし、実験室で確かめてみると、この組み合わせは乳がん細胞(MCF7)に対して、驚くほど強い攻撃力を持っていたのです。
しかも、正常な細胞(MCF10A)にはほとんど影響がない――これは、がん治療において「理想的な特性」です。

ほかにも「ジピリダモール(血液循環を助ける薬)」と「メベンダゾール(寄生虫治療薬)」など、意外な”日常薬コンビ”が、がん細胞に効果を発揮しました。

AIは「学び」、そして進化する

さらに驚いたのは、次の展開です。

研究チームは、初回の実験結果を GPT-4 に”フィードバック”し、新たな薬の組み合わせを再び依頼。
すると、AIはその結果を踏まえて、より効果のありそうな薬ペアを提案しました。

実際、その中にはさらに高い効果を持つ組み合わせもあり、AIが「学びながら仮説を改良していく」ことが実証されたのです。

もはや、これは”ツール”ではありません。
これは、人間の隣で考え、ひらめき、助言する「科学の相棒」なのです。

でも、AIの”ひらめき”は完璧ではない

もちろん、課題もあります。
GPT-4 が提案した説明の中には、誤った生物学的知識に基づくものも混じっていました。

たとえば「イトラコナゾール(抗真菌薬)」が”細胞膜の完全性を破壊する”という説明は、真菌のエルゴステロール合成に関する知識を哺乳類細胞に誤って適用したものでした。
実際には、エルゴステロール合成は哺乳類細胞には存在しません。
こうした誤解を見抜くのは、やはり人間の仕事です。

AIは「知識の海の中でアイデアを釣り上げる天才」かもしれませんが、その釣り上げたものが本物かどうかを見極めるのは、私たち科学者の役目です。

「ひらめくAI」と「判断する人間」が共に歩む未来へ

この研究が教えてくれるのは――AIは「奇跡の答え」を与えてくれるわけではない、ということです。

でも、AIは”普通なら見落としてしまうような可能性”を見つけ出し「試してみたくなる仮説」を私たちの前に差し出してくれる存在なのです。

それはまるで、かつての天才科学者が黒板に走り書きしたアイデアを、若き研究者が拾い上げ、実験室で確かめていくような――そんな美しい協奏曲にも似ています。

最後に:科学に「AIの声」を聴くという選択

「AIにひらめきはあるのか?」

この問いの答えは、きっとこうなるでしょう。

「AIの仮説に、耳を傾けた人間がいて、試したからこそ”科学”になった」

科学の未来は、ひとりの天才による”ひらめき”だけではなく、人とAIの対話から生まれる”共鳴”によって切り拓かれていく。

そんな新しい夜明けが、いま静かに始まっています。

参考:Scientific hypothesis generation by large language models: laboratory validation in breast cancer treatment

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