7月3日、暗号資産界隈でこんな話が出回りました。
「OpenAI や SpaceX の株がトークンで買えるらしい」
一見、革新的な金融技術のように見えますよね。
株式をブロックチェーン技術でトークン化し、誰でも少額から取引できる。
確かに便利そうです。
でも……OpenAI 自身は、そんなものを”出してもいなければ、認めてもいない”と公式に否定したのです。
問題の発端:Robinhood の公式発表
この騒動の火元となったのは、米国の大手投資プラットフォーム「Robinhood」の公式発表でした。
カンヌで開催されたイベントにて、Robinhood の CEO 兼共同創設者である Vlad Tenev 氏が、OpenAI や SpaceX の“トークン化された株式”を提供すると発表したのです。
これは Robinhood のヨーロッパ展開戦略の一環として行われました。
しかし重要なのは、これらのトークンは実際の株式ではなく、価格に連動する派生商品であるということです。
つまり「企業の株を買える」と言いながら、実際には「その企業の株価の動きを追うだけの金融商品」だったのです。
OpenAI はこれにすぐさま反応し、X(旧 Twitter)上で「これらの『OpenAI トークン』は OpenAI の株式ではありません。
私たちは Robinhood と提携しておらず、この件に関与していません。
また、これを支持もしていません」と明確に否定。
ユーザーにも注意喚起を行いました。
技術の最先端にも”信用”は必要
今回の騒動には、私たちが学ぶべき2つの重要な教訓があります。
① 「技術」よりも「合意」が先にあるべき
たとえそれがどんなに革新的な技術であっても、関係する企業の同意なしに進めれば、それは信頼関係の破綻を招きます。
技術の魔法は、関係者間の信頼があってこそ機能します。
② “便利そう”でもまずは疑う視点を
「簡単に買える」「手軽に投資できる」と聞くと、つい飛びつきたくなります。
でもそのとき“これは本当に正しい情報?”という視点を忘れてはいけません。
私たちの冷静さが、最大のセキュリティなのです。
トークン時代を生き抜くために
これからの時代、AIやブロックチェーン、NFT などの新技術がますます生活に入り込んできます。
でも大切なのは”流されない力”です。
「すごそう」に見えるものこそ、立ち止まって考えること。
「誰が言っているのか」
「なぜ今それが出てきたのか」
—そうやって一呼吸置くことが、あなた自身の信頼を守ることにつながります。
最後にひとこと
OpenAI の同意なしに発行されたトークン株。
その騒動は、私たちに問いかけてきます。
「あなたは、信頼できる情報源を選んでいますか?」
たとえ未来の金融がブロックチェーンで変わろうとも“人間の判断”という最後の砦は、いつも私たち自身にあるのです。
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