それは、「断る」ことから始まった
もし、あなたが起業家で、目の前に約 800 億円という買収オファーがあったとしたら、どうしますか?
しかも相手は、世界の巨大テック企業「Meta(旧Facebook)」。
「こんなチャンス、二度とないかもしれない」と、誰もがそう思うかもしれません。
でも、韓国のスタートアップ FuriosaAI(フリオサエーアイ) は、違いました。
彼らは Meta からの約 800 億円の買収提案を断ったのです。
そして今、彼らはその代わりに、韓国の大手企業「LG」のAI研究部門「LG AI Research」との大型契約を結び、AIチップ業界で独自の道を突き進んでいます。
この記事では「なぜ FuriosaAI は売らなかったのか?」「どんな未来を見据えているのか?」を、初心者にもわかりやすくお届けします。
AIチップって何? という方でも安心して読めるように、やさしく丁寧にご紹介していきます。
AIチップってなに? スマホと Suica の関係で考えてみよう
まず「AIチップ」って何なの? というところから説明しましょう。
私たちがスマホで写真を撮るとき、自動で人物の顔にピントが合ったり、背景がぼやけたりしますよね?
あれ、実はAI(人工知能)が裏で働いています。
そしてそのAIが高速で動けるように支えているのが、AIチップです。
例えるなら、普通のコンピュータチップが「スーパーマーケットのレジ」だとしたら、AIチップは「改札をスイスイ通れる Suica」のような存在です。
処理がとても速くて効率的。AI専用に作られたチップだからこそ、AIに特化した高速な処理が可能なのです。
FuriosaAI とは? 韓国発、静かに燃える情熱の会社
FuriosaAI は、韓国ソウルに本社を置くAIチップ専門のスタートアップ。
アメリカのカリフォルニア州にもオフィスを構え、グローバルに15名という少数精鋭のチームで運営されています。
そして何よりすごいのは、彼らの芯の強さです。
多くのスタートアップが早々に大手に買収される中、FuriosaAI は「自分たちの技術で世界と勝負する」という意志を貫いています。
今回の Meta の買収提案を断ったのも、その一環です。
同社 CEO の June Paik 氏は「私たちはミッションを続けたいのです。AIコンピューティングをより持続可能にすることは、個人的にも会社にとっても非常にインパクトのある貢献だと信じています」と語っています。
彼らが選んだのは「売ること」ではなく「共に未来をつくるパートナー」を見つけることでした。
そして出会った、もうひとつの巨人「LG AI Research」
FuriosaAI が新たに手を結んだ相手は、韓国の大手企業LGのAI研究部門「LG AI Research」。
LGが開発した次世代AIモデル「EXAONE 4.0」に FuriosaAI のチップ「RNGD」を供給する契約を結びました。
この協業は、電子機器、金融、通信、バイオテクノロジーなど主要分野での多様なアプリケーション展開を目標としています。
これは単なる契約ではなく、両者が「韓国発のテクノロジー」で世界と戦うための共闘でもあるのです。
注目すべきは、FuriosaAI の RNGD アクセラレータが、LG AI Research の EXAONE モデルにおいて競合 GPU を上回り、2.25 倍優れた推論性能を実現したことです。
しかも、より省エネルギーで、トータルコストも抑えられるという。
FuriosaAI にとって、これは単なる「顧客獲得」ではなく「志を共にするパートナーシップ」だったのでしょう。
彼らが教えてくれること——「信念は、時に巨人にも勝る」
このニュースは、単に「どの会社と契約したか」ではありません。
FuriosaAI の姿勢そのものが、現代を生きる私たちに大切なヒントを与えてくれます。
- 目先の利益よりも、長期的なビジョンを選ぶ
- 流されず、自分たちの価値を信じる
- 「売られる側」ではなく「選ぶ側」として動く
このような姿勢は、ビジネスの世界に限らず、私たちの日々の選択やキャリアにも重なります。
周囲に合わせるのではなく「自分はどうしたいのか?」という問いを持つことの大切さを、FuriosaAI
は静かに、しかし力強く教えてくれているのです。
「自分を売る」か「自分を貫く」か
テクノロジーの世界では、巨人たちの動きが注目されがちです。
しかし、その陰で、自分たちの信念を守りながら新たな未来を切り開く人たちがいます。
FuriosaAI は、まさにその象徴。
たとえ相手が Meta でも、譲れないものがある—。
このエピソードを知ったあと、あなたの「選択の仕方」も少し変わるかもしれません。
大事なのは、売れることじゃない。
信じた道を、どこまでも走りきること。
参考:Instead of selling to Meta, AI chip startup FuriosaAI signed a huge customer
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