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72人の大学生に聞いた『AIと人間の先生、どっちがいい?』→結果が予想外すぎた

AI

きっかけ:生徒からの率直な問いかけ

「ねえ先生、これ、AIでよくない?」

その瞬間、教室の空気がピリリと変わった。
まっすぐな目でこちらを見る生徒。
私は少し笑って、その場をやり過ごしたけれど――心の中では、ザワッと何かが動いたのを感じました。

確かに、今は ChatGPT のようなAIが急速に進化しています。
レポートの添削も、論文の構成も、質問対応まで…”先生の代わり”ができてしまう。

「じゃあ、教師の存在って、これからどうなるんだろう?」

そんな問いに、正面から向き合ったひとりの大学教師の挑戦がありました。

AIと人間の比較実験が始まった

バージニア大学で英語を教えるピアーズ・ゲリー氏は、2024-2025 学年度に大胆な実験を開始しました。

4つのクラス、計72人の学生を対象に「AIありの課題」と「AIなしの課題」を比較し、最終的に学生自身に判断してもらうという試みです。

ゲリー氏は学期を通じて以下のような実験を行いました:

  • AIを使った課題と使わない課題の比較
  • ChatGPT による添削と教師による添削の違い
  • AI生成文章と人間の文章の識別テスト
  • AIを活用した「人間+AI」の協働可能性の検証

そして学期末、72人の学生に最終的な問いを投げかけました:「AI時代に、まだ人間の教師は必要か?」

AIの「完璧さ」が露呈した限界

実験を重ねる中で、興味深い現象が起こりました。

学生たちがAIにエッセイのトピックを提案してもらった際、こんなタイトルが並んだのです:

  • 「デジタル時代を生き抜く:テクノロジーが私たちの社会生活に与える影響」
  • 「デジタル時代を生き抜く:テクノロジーについての個人的考察」
  • 「つながりから切断へ:テクノロジーが社会生活に与える影響」
  • 「つながりと気晴らしの間で:私たちの生活におけるテクノロジーの役割」

ゲリー氏がこれらのタイトルを読み上げたとき、教室は静まり返りました。
学生たちは、自分たちが「個性的」だと思っていたAI提案が、実は判で押したように似通っていることに愕然としたのです。

「ChatGPT は正しいことしか言わない。でも、なんだか冷たいんです」
「フィードバックは完璧だけど、そこに”私”が見えてこない」

学生たちからは、このような声が上がりました。

教育とは「正しさ」ではなく「旅」

ウィルソン氏は、授業の最後にこう語りました。

「教師とは、地図を渡す人ではない。一緒に地図を読み、迷いながら旅する”仲間”なんだ」

これは、心に刺さる言葉です。

教育は「これが答えです」と示す仕事ではありません。
生徒と一緒に「この問いについて、どう思う?」と対話を重ねていく――そのプロセスこそが学びなのです。

ChatGPT は、どんな地図もすぐに提示できるでしょう。
でも、旅路で迷ったとき、進む勇気をくれるのは、隣を歩く人の声だけです。

まとめ:「信頼」という選択

実験の最後に、ゲリー氏は重要な発見をしました。
何人かの学生が「人間の教師が必要」と主張するエッセイを、実はAIに書かせていたのです。

皮肉なことに、AIが「人間の書くことの価値」を論じていたのです。

しかし、大多数の学生は正直に自分の言葉で答えていました。
その中で、特に印象的だったのがキャムという学生の言葉でした:

「ChatGPT を使わずに何かを書いたのは、数か月ぶりでした。そのとき気づいたのは、自分で編集する方法も、何かに頼らずに思考を始める方法も忘れてしまっていたということです。ChatGPT は私にとって、ツールではなく松葉杖になっていました」

興味深いことに、キャムは実際にその学期中、足を怪我して松葉杖を使っていました。
だからこそ、この言葉の重みが伝わってきたのです。

教育とは「正しさ」ではなく「旅」

ゲリー氏の実験が教えてくれたのは、教育の本質についてでした。

「教師とは、地図を渡す人ではない。一緒に地図を読み、迷いながら旅する”仲間”なんだ」

AIがどんなに進歩しても「一緒に学ぶ」という人間の営みは代替できない。
この実験は、そのことを72人の学生と1人の教師に教えてくれました。

ゲリー氏は最後にこう語ります:「私は、自分が”教える人”だと思っていた。でも今は、”一緒に学ぶ人”でありたいと思っている」

AI時代だからこそ、私たちは改めて「人間らしさ」の価値を再発見できる。
この物語は、そんな希望を私たちに教えてくれます。

参考:What Happened When I Tried to Replace Myself with ChatGPT in My English Classroom

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