エッセイ執筆でAIに依存すると何が起こるのか?
「最近、自分で考える機会が減ってきた気がする」――そんなふうに感じたことはありませんか?
特に ChatGPT などのAIを使って文章を書くとき。
便利さの代償として、私たちの脳は少しずつ「サボり癖」を覚えているのかもしれません。
MIT が解明した「認知的負債の蓄積」現象
MIT の最新研究「Your Brain on ChatGPT: Accumulation of Cognitive Debt when Using an AI Assistant for Essay Writing Task」は、この直感を科学的に裏付けるものでした。
EEG 脳波スキャンによる調査によると、ChatGPT を使ってエッセイを書く学生たちの脳では、神経結合の弱化、記憶想起の障害、自分の書いた文章に対する所有感の低下が確認されました。
AIが生成したコンテンツは高い評価を受ける一方で、それを使う人間の脳は機能を停止していたのです。
脳の接続性が段階的に低下する恐怖
研究では3つのグループを比較しました:
- 脳のみグループ:最も強く広範囲な神経接続を示した
- 検索エンジングループ:中程度の接続性
- LLM(ChatGPT)グループ:アルファ波、ベータ波、デルタ波、シータ波すべての帯域で最も弱い接続性
特に衝撃的だったのは、LLM ユーザーの 83.3% が、自分が書いたばかりのエッセイから一文すら引用できなかったことです。
一方、脳のみグループと検索グループでは 88.9% が正確に引用できました。
「自分の作品」への愛着も失われる
さらに深刻なのは、所有感の喪失です。
執筆者としての責任について尋ねられたとき:
- LLM ユーザー:「50対50」「70% は自分のもの」といった曖昧な回答、中には全く所有感を感じない人も
- 脳のみグループ:ほぼ全員が完全な所有感を報告
AIをやめても脳機能は完全回復しない
最も警告すべき発見は、ChatGPT の使用をやめても脳機能が完全には回復しなかったことです。
LLM から脳のみの作業に切り替えた参加者は、元のベースライン活動パターンに戻ることができず、神経活動は低下したままでした。
検索エンジンは「より健全な選択」
興味深いことに、検索エンジンを使用したグループは:
- より強い実行機能を維持
- 記憶の活性化が良好
- 引用の記憶も良好
- 視覚処理と認知努力をサポートする後頭部と頭頂部の活動が堅調
研究が示す「認知的負債」の現実
研究者たちは、脳が「神経効率適応」の傾向を示すことを発見しました。
つまり、脳は統合や記憶に必要な努力を本質的に「手放して」しまうのです。
この適応は受動性、最小限の編集、概念の統合不足につながりました。
私たちが取るべき行動
研究結果を踏まえ、研究者たちは明確な警告を発しています。
AIを現在使用している場合は、定期的に休憩を取り、自分の心に作業をする機会を与えること。
そうでなければ、深刻な認知的害と依存に直面する可能性があります。
未来への問いかけ
最後に、この研究が投げかけた重要な問いを考えてみましょう。
――機械は私たちの仕事を奪うだけでなく、私たちの心も奪おうとしているのでしょうか?
世界中の人々が複雑なタスクを人工知能に依存し始める中、私たちの認知能力と創造的能力は急降下の危機に直面しています。
未来の自分の脳を守るのは、今日からの選択なのです。
参考:MIT Study Finds Artificial Intelligence Use Reprograms the Brain, Leading to Cognitive Decline
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