「最近買ったあの商品、思ったより使いやすい!」
「正直、期待外れだったなぁ……」
こんな何気ない会話、実は企業にとって宝の山です。
ところが従来の市場調査は、アンケートや数字ばかり。
そこには本当の気持ち──声のトーンや感情の揺れ──までは反映されていませんでした。
その”隠れた本音”をすくい上げようとしているのが、2023 年設立のスタートアップ Keplar(ケプラー) です。
「声に宿る感情」をAIが読み解く
文字だけでは伝わらないニュアンスがあります。
たとえば、友達から「いいと思うよ」と言われたとき、声が弾んでいれば「本当に気に入ってくれたんだ」と分かります。
でも、もし淡々とした声なら「あれ、本心じゃないかも?」と感じるはずです。
Keplar のAIは、この”声に宿る感情”を捉えることができます。
同社のプラットフォームは、商品に関するあらゆる質問をインタビューの進行ガイドに変換し、AI音声アシスタントが参加者に対話を通じて商品の好き嫌いを探る深い質問を投げかけます。
「これらの会話は本当にリアルに感じられます。再生すると、参加者がAI司会者をエリー、アンドリュー、ライアンといった名前で呼びかけているのが聞こえるほどです」 と、Google 出身で音声AIモデル開発に携わっていた共同創設者の Dhruv Guliani 氏は語ります。
340 万ドルの資金調達で注目集める
水曜日、Keplar は名門 VC Kleiner Perkins 主導で 340 万ドルのシード資金調達を発表しました。
SV Angel、Common Metal、South Park Commons も参加しており、数々のテクノロジー企業を育ててきた投資家たちからの支援は、Keplar の可能性を強く物語っています。
同社の顧客には、すでに Clorox や Intercom といった大手企業が名を連ねています。
市場調査の常識を覆す速度とコスト
従来の市場調査会社は高額な費用と数週間の時間を要していました。
しかし Keplar なら、企業は数分で調査を設定でき、人間による従来の調査の一部のコストで、はるかに速く分析結果を得ることができます。
AIとの会話結果は、従来の人間の市場調査員が提供するものと同様のレポートや PowerPoint プレゼンテーションにまとめられます。
競合ひしめく新市場
Keplar は顧客調査市場のAI化に挑む唯一の企業ではありません。
競合には、6月に 8VC から1,700 万ドルのシリーズAを調達した Outset や、4月に Sequoia から 2,700 万ドルを調達した Listen Labs などがあります。
まとめ──声の時代の幕開け
Keplar の挑戦は、単に「市場調査を効率化する」以上の意味を持っています。
それは、私たち一人ひとりの「声」が社会を動かす力を持つ時代が始まったということです。
LLM の進歩により、音声ボットとの会話がこれほどまでに自然になった今、次に誰かと交わす何気ない会話が、世界を変える種になる。
そう考えると、少しワクワクしませんか?
参考:Kleiner Perkins-backed voice AI startup Keplar aims to replace traditional market research
コメント