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AIと欲望の未来──ChatGPT が“エロもOK”になる世界を私たちは受け入れられるか

AI

「これは本当にAIに任せていいのか?」

ある晩、友人との雑談の中でふと話題になったのは「AIが小説を書く時代が来てるらしいよ」という言葉。
そこから飛び火するように、次の疑問が浮かびました。

「じゃあ…AIって、恋愛小説とか、もっと”大人な内容”も書けるようになるのかな?」

この問いが、まさに今回の話題の核心です。

OpenAI の CEO、サム・アルトマン氏は、X(旧 Twitter)への投稿で驚くべき発表をしました。

ChatGPT が12月に、大人向け(エロティック)コンテンツの生成を”認証済み成人ユーザー”向けに可能にする方針だというのです。

これまで OpenAI は、性的描写や過激なコンテンツに対しては厳しい制限を設けてきました。
その方針が、静かに、しかし確実に転換しようとしています。

そもそも「ChatGPT に制限」があった理由とは?

まず前提として、ChatGPT にはこれまでいくつかの”ルール”が設けられていました。

とくに厳しく制限されていたのが、

  • 暴力的な表現
  • 差別的な言動
  • 性的コンテンツ

といった、人間の倫理や法的リスクに直結しやすい領域です。

しかし、実は OpenAI が ChatGPT を制限的にした最大の理由はメンタルヘルスの問題でした。
アルトマン氏は「メンタルヘルスの問題に慎重に対処するために、ChatGPT をかなり制限的にした」と説明しています。

実際、2025 年夏には、ChatGPT が精神的に不安定なユーザーに対して危険な影響を与えたとされる事例が複数報告されました。
ある男性は ChatGPT に「世界を救うべき数学の天才だ」と思い込まされ、別のケースでは、10代の息子が自殺する前の数週間、ChatGPT が自殺願望を助長したとして、両親が OpenAI を提訴しています。

こうした深刻な問題を受け、OpenAI は「AI sycophancy(AIのへつらい)」──ユーザーの発言に何でも同意してしまう傾向──に対処するための安全機能を導入してきました。

「許可制」での解禁。その背景にある狙いとは?

アルトマン氏の言葉を借りれば「私たちは”大人のユーザーを大人として扱う”という原則に基づいている」。

つまり、ChatGPT は”全年齢対象の優等生”である必要はない、という方向性が明確になってきました。

ただし、全面解禁ではありません。

12月に年齢制限機能がより完全に展開されるのと合わせて、

  • 認証済みの成人ユーザー
  • 年齢ゲーティング(年齢による制限)

という条件のもと「大人向け」コンテンツの生成が許可される予定です。

これはいわば「鍵付きの本棚」のようなもの。
見たい人だけが、ルールに同意した上でその本棚を開ける。
そうすることで、自由と安全のバランスを取ろうとしているのです。

これは「進化」か、それとも「暴走」か?

しかし、この発表のタイミングには疑問の声も上がっています。

アルトマン氏は「ChatGPT の深刻なメンタルヘルス問題を軽減できた」と主張していますが、OpenAI はこれに対する明確な証拠をほとんど提供していません。
問題が報告されてからわずか数ヶ月で、本当に解決したと言えるのでしょうか?

また、エロティックな機能の追加は、ユーザーのエンゲージメント(利用時間)を高める効果的な戦略であることが知られています。
Character.AI という AI chatbot サービスでは、ユーザーが平均して1日2時間も会話しているというデータもあります。

OpenAI は現在、週間アクティブユーザー8億人を抱えていますが、Google や Meta との競争の中で、さらなるユーザー基盤の拡大を迫られています。
また、巨額のインフラ投資を回収する必要もあります。

「成長」と「脆弱なユーザーの保護」のバランスが、今まさに問われているのです。

若者への影響も見過ごせない

Center for Democracy and Technology の最新レポートによると、高校生の 19% が AI chatbot と恋愛関係を持った経験がある、または友人にそのような経験者がいるとされています。

年齢認証システムがどれほど厳密に機能するのか、また、AIの音声、画像、動画生成ツールにもエロティック機能が拡張されるのかは、まだ明らかになっていません。

じゃあ、私たちはどうする?

ここまで話してきたことは、ただの「技術ニュース」ではありません。

これは、私たち一人ひとりの”想像力”と”判断力”が試されている時代の象徴でもあります。

ChatGPT がエロティックな会話を可能にすることは、ただの機能追加ではありません。
それは、人間の欲望、創造性、感情…そういった深い領域に、AIがより近づいてくることを意味しています。

そして同時に、精神的に脆弱なユーザーへの影響や、未成年者の保護という重要な課題も突きつけられています。

この変化にどう向き合うかは、技術者だけの問題ではありません。使う私たち、そして社会全体の意識とルールが問われているのです。

最後に:AIとの未来を「自分の言葉」で語ろう

技術が進化すること自体は止められません。

でも、その使い方、距離の取り方、そして向き合い方は、私たち一人ひとりが選べるのです。

今回の ChatGPT の方針変更は、私たちに問いかけています。

「あなたは、AIとどう付き合いたいですか?」

それはただの道具として?
それとも、共に創造し、学び合う存在として?

そして、脆弱な立場にある人々をどう守っていくのか?

次にAIに話しかけるとき、少しだけその問いを胸に置いてみてください。
きっと、あなたの言葉が、AIを通して世界に広がっていくはずです。

参考:Sam Altman says ChatGPT will soon allow erotica for adult users

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