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AIに何十億円が投資される本当の理由──お金の流れをたどったら、同じ場所に戻ってきた

AI

こんなに騒がれているのに、AIって本当に”未来の技術”なの?

2022 年、ChatGPT の登場を皮切りに「AIが世界を変える」という言葉を何度も耳にするようになりました。
「AIが人間の仕事を奪う」
「AIは人類の最大の発明だ」
そんな熱狂の中で、投資家たちがAIスタートアップに何十億ドルというお金を次々に注ぎ込んでいます。

でも、ふと疑問に思いませんか?

「このお金、一体どこに流れて、どう使われているんだろう?」

実は今、AI業界では「循環マネー(Circular Money)」という、ちょっと不思議なお金の流れが問題視されています。
まるで自分のお金をぐるぐる回して、外から見るとすごく儲かっているように見せている。
そんな仕組みが、水面下で静かに進行しているのです。

今回は、このAI業界の裏側で起きている「循環マネー問題」について、わかりやすく解説していきます。


「投資」と「支払い」がぐるぐる回る?循環マネーの正体とは

まず「循環マネー(Circular Money)」という言葉をわかりやすく言い換えるなら“お金のブーメラン” です。

たとえば、2025 年に発表された具体的な事例を見てみましょう。
Nvidia は OpenAI に最大 1000 億ドルの投資を約束しました。
そして OpenAI は、そのお金を使って大規模なデータセンターを建設し、何百万枚もの Nvidia 製チップを購入する計画を発表しています。
さらに OpenAI は、Oracle と 3000 億ドル規模のクラウドインフラ契約を結び、AMD とも数百億ドル規模のチップ購入契約を締結しました。
Oracle は当然、データセンターに Nvidia のチップを大量に購入します。

これって、ちょっと変だと思いませんか?

表向きは「投資による成長支援」ですが、実際には “投資という名の販促” に近い構造です。
スタートアップが使うお金の多くが、チップメーカーやクラウド企業に戻ってくる。
つまり、お金が業界の中でぐるぐる回っているだけなのです。

では、なぜこんな構造が生まれたのでしょうか?

この背景には、生成AIの爆発的な需要と、それを支えるインフラの重さがあります。
生成AIを動かすには、膨大な計算資源が必要です。
ChatGPT のようなモデルを作るには、何千台もの GPU を動かすクラウドインフラが不可欠で、そのコストは天文学的。
スタートアップが自前でそれを用意するのはほぼ不可能です。
だからこそ、Nvidia や Oracle、Amazon の AWS やMicrosoft の Azure など、巨大企業の支援が欠かせないわけです。

その結果として、これらの企業はこう考えます。

「それなら、見込みのあるAI企業に投資しておけば、どうせうちの製品やサービスを使ってくれる。結局、自分たちにお金が戻ってくるなら、損はない」

まるで、自分の財布からお金を出して、遠回りさせて、また自分の財布に戻すような話です。
さらに特徴的なのは、CoreWeave という企業の例です。
CoreWeave は Nvidia から出資を受けている企業で、Nvidia は CoreWeave の株式約7%を保有しています。
そして 2025 年、Nvidia は自ら CoreWeave から63億ドル分のクラウドサービスを購入する契約を結びました。
一方、OpenAI も CoreWeave と 224 億ドル規模の契約を結んでいます。
つまり、Nvidia が出資した企業から、Nvidia 自身がサービスを買い、さらにその企業は Nvidia の別の顧客にもサービスを提供しているのです。


見かけの成長と”空洞化”するバリュー

この循環構造には、もう一つの問題があります。

それは、本当に価値が生まれているのかわからなくなることです。

AIスタートアップが「○○億ドルの投資を獲得!」とニュースになるたび「すごい!」と感じてしまいがちですが、OpenAI は 2025 年上半期だけで25億ドルの赤字を計上しています。
売上は43億ドルある一方で、インフラ代や開発費に莫大な資金が消えていきます。
もしかすると、実際にAIで革新を起こしているというよりも“見かけ上の成長” を演出しているだけかもしれません。

つまり、実態以上に「AIがすごい」という期待値が一人歩きしてしまう。
投資が投資を呼ぶ”泡”のような構造になりつつあるのです。
実際、ウォール街の一部のアナリストは、この状況をドットコムバブル期の通信業界の循環投資と比較し「非常に懸念すべき状況だ」と警告を発しています。


誰のためのAI? 私たちが考えるべき視点

ここで立ち止まって考えてみたいのは「AIは誰のための技術なのか?」という根本的な問いです。

もし業界の中だけでお金が回っていて、本当に必要とされる技術やサービスに届いていないとしたら。
それは本来の意味での”進歩”とは言えないのではないでしょうか。

たとえるなら、華やかな見世物の裏で、仕掛け人たちが同じお金を投げ合っているだけのサーカスのようなものです。
観客である私たち一般ユーザーは「すごい」と思っていても、そこに新しい感動や変化はないのかもしれません。

興味深いのは、2025 年のAI関連企業の株価上昇が、米国株式市場全体の上昇分の 80% を占めているという事実です。
つまり、AI業界の動向が市場全体に巨大な影響を与えているのです。
もしこの循環構造のどこか一つに問題が生じれば、連鎖的に業界全体、ひいては市場全体に影響が及ぶリスクがあります。


未来を選ぶのは「私たち」

もちろん、すべての投資が無意味なわけではありませんし、この循環構造にも戦略的な意義はあります。
一部のアナリストは、こうした投資によってAIインフラの整備が加速し、長期的には社会全体の利益になる可能性を指摘しています。
実際、ドットコムバブル期に敷設された光ファイバー網は、バブル崩壊後も社会インフラとして活用され続けています。

でも、大切なのは「技術は誰のためにあるのか」 という視点を忘れないことです。

AIが本当に人の生活を豊かにするための技術であるならば、そのお金の流れも、もっと多様で、開かれたものであるべきではないでしょうか。

いま、私たちは未来の技術の入口に立っています。
その未来が、限られた企業だけのものになるのか、それともすべての人の手に届くものになるのか。
それを決めるのは、私たち一人ひとりの”目の向け方”かもしれません。


さいごに:お金の流れを見れば、未来の形が見えてくる

AIの話というと、技術的で難しそうな印象を持ちがちですが、お金の流れに目を向けることで、本当の姿が見えてくることがあります。

「循環マネー」という仕組みを知ることは、ただの経済の話ではなく、技術と社会の関係性を見直すチャンスです。

華やかなニュースの裏にある本当の価値とは何か。
それを見極める力を、今こそ私たちは身につけるべき時なのかもしれません。

参考:The circular money problem at the heart of AI’s biggest deals

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