「また注射なの……?」
8歳のリナちゃんは、白血病の治療のために何度も病院を訪れています。
治療だけでなく、血液検査のためにも、腕に何度も針を刺されてきました。
検査結果が出るのはいつも翌日。
お母さんは、その「待ち時間」の不安に何度も胸を締め付けられてきたと話します。
けれど、ある日、医師が見せてくれたのは、手のひらに収まる小さな機械でした。
「これはね、Hilab Lens(ハイラボ・レンズ)って言うんだよ。指先からちょっと血を取るだけで、25分ほどで結果が出るんだ」
まるでおもちゃのようなその装置が、リナちゃんの未来を変える一歩になるとは、誰が想像したでしょうか。
小さな機械が担う、大きな命の重み
血液検査(CBC)は、がん、感染症、貧血といったさまざまな病気の早期発見や経過観察に欠かせない検査です。
けれど、これまでこの検査は「大きな病院で」「高価な機械を使い」「専門スタッフがいてこそ」成り立つものでした。
だからこそ、世界中の多くの子どもたちが「検査が間に合わなかった」という理由で、治療のチャンスを逃しているのが現実です。
Hilab Lensは、そんな壁を取り払うために作られました。
指先からわずか10μlの血液を採取し、小さなカプセルにセットして機械に挿入するだけです。
AIが画像解析と数値計算を自動で実行し、約25分で20項目以上の結果がクラウドで共有可能になります。
しかも、精度は従来の病院用機器とほぼ同等。
たとえば、白血球の数や異常細胞の検出など、治療方針に大きく関わる情報も、正確に、早く、簡単に得ることができるのです。
病院での実証結果――「本当に使える」が証明された
ブラジルの小児がん専門病院で行われた試験では、555人の患者を対象にHilab Lensの性能を検証しました。
その結果は驚くべきものでした。
主要な血液データの精度は98%以上を記録し、異常な白血球(幼若細胞や帯状核好中球)も高精度で検出されました。
指先採血でも静脈採血とほぼ同じ信頼性が確認されたのです。
さらには、保護者の声も印象的です。
「移動の手間がなくて助かった」「子どもの負担が少なく、安心できた」「すぐに医師と話せて、結果を共有できたのが嬉しい」といった声が寄せられました。
満足度の平均スコアは4.76点(5点満点)。
ただの「便利」ではなく「命を守る安心感」に変わったのです。
未来の医療は、ポケットの中にある
この装置がある未来では、どんなに遠い村でも、どんなに小さな診療所でも、世界中の子どもたちが平等に「命を守る情報」を手に入れられます。
リナちゃんのような子が、もう「待つ」ことなく治療を受けられる。
それは、医療の未来が「誰にでもやさしい」世界へと一歩踏み出した証かもしれません。
私たちが夢見ていた「医療のかたち」は、もうそこまで来ているのです。
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