「自分に代わって働いてくれるAIがいたらなぁ」
そんな風に思ったこと、ありませんか?
たとえば、フリーランスとして複数のクライアント対応をしているとき。
あるいは、日々忙殺されながらも、もっと情報収集や発信に時間を割きたいと願うとき。
もし、あなたの意図を汲み取り、信頼できる判断をして、交渉や手続きまでこなしてくれる「AIアシスタント」がいたら。
いま、そんな未来が現実味を帯びてきています。
しかも単なる「便利な道具」ではなく、「信頼できるパートナー」としてのAIが台頭しようとしているのです。
今回は、AIとブロックチェーンの融合によって、まったく新しい形のエージェント経済(agent economy)を支えるプロジェクト、Masumi Networkの取り組みをご紹介します。
エージェント経済ってなに? AIが”代理人”になる世界
「エージェント経済」とは、AIが人間に代わって、交渉・提案・契約などの意思決定を行う経済モデルのことを指します。
たとえば、あなたが旅行に行くとき、AIが最適な航空券とホテルを見つけて予約し、万が一トラブルが起きても適切に対応する。
あるいは、あなたの趣味やニーズを把握して、ぴったりの商品を提案し、購入手続きまで済ませる。そんな風に、AIが「あなたの分身」として活躍する未来です。
この構想はとても魅力的ですが、ある大きな課題を抱えています。
それは、信頼できるのか?という問題です。
2026年、先進的な組織は様々な役割や機能にAIエージェントを配置し始めています。
しかし、IDCの調査によれば、2030年までにグローバル1000社の最大20%が、AIエージェントの不適切な管理やガバナンスに起因する訴訟、多額の罰金、CIOの解雇といった事態に直面する可能性があるとされています。
私たちはAIに「仕事を任せる」ことができますが、そのAIが本当に自分の意図を理解して動いてくれているのか?
その判断は誰かに改ざんされていないのか?
そして、結果に対して責任を持ってくれるのか?
便利さの裏には、透明性や責任、つまり「信頼」が不可欠なのです。
Masumi Networkが目指すもの 信頼できるAIをつくる仕組み
そこで登場するのが、今回の主役であるMasumi Network(ますみ・ネットワーク)です。
Masumi Networkは、NMKRとServiceplan Groupの協業によって2024年後半に誕生しました。
これは、フレームワークに依存しない分散型インフラストラクチャで、開発者が自律的なエージェントを構築し、それらが互いに協力し、サービスを収益化し、検証可能な信頼を維持できるようにすることを目指しています。
NMKRの創業者兼CEOであるPatrick Toblerは、Masumi Networkの核心的な考え方についてこう説明します。
「Masumiの中核となる理念は、将来的に異なる企業から数十億もの異なるAIエージェントが互いにやり取りするようになるということです。難しいのは、異なる企業のエージェント同士が実際にどのように相互作用し、お金をやり取りできるかということです」
どうやって信頼を担保するのか?
では、どうやって信頼を担保するのでしょうか?
Masumi Networkの答えは、分散型ネットワークの活用です。
旅行を例に考えてみましょう。あなたが業界カンファレンスに参加したいとき、あなたのホテル予約エージェントが航空会社のエージェントから航空券を購入します。
このとき、体験と取引全体がシームレスに行われますが、その背後には暗黙の信頼が必要です。
「Masumiは分散型のエージェントネットワークです。
つまり、中央集権的な決済インフラに依存していません」とToblerは説明します。
「その代わりに、エージェントにはウォレットが装備されており、あるエージェントから別のエージェントへステーブルコインを送ることができます。そのため、完全に安全で信頼不要な方法で互いにやり取りできるのです」
Toblerは暗号通貨の分野で長い時間を過ごし、その利点が間違った方向に向けられていると判断しました。
「私たちは暗号通貨で人間向けに多くの問題を解決してきましたが、間違ったターゲット層向けに解決していたのかもしれないという結論に至りました」と彼は説明します。「人間にとって、暗号通貨やウォレット、ブロックチェーンといったものを使うのは極めて困難で、ユーザー体験は良くありません。しかしエージェントにとっては、使いにくくても問題ありません。彼らは単にそれを使うだけで、それが非常に自然なのです」
「つまり、将来的に何百万、あるいは何十億ものエージェントと相互作用しなければならないという、いまエージェントに関して生じているこれらの問題は、すべて暗号通貨ですでに解決されているのです」
技術の先にある”信頼”という社会基盤
Masumi Networkの面白さは、AIの進化を語るだけではなく「信頼という社会の根幹を、技術でどう再構築するか」という大きなテーマに取り組んでいるところにあります。
私たちは人と人との間で、信用や実績、信頼関係のもとに仕事を進めています。
AIが人間の代わりに意思決定を担うようになるならば、そのAIにもまた「信頼されるための仕組み」が必要なのは、言うまでもありません。
Masumi NetworkはCardanoブロックチェーン上に完全に構築されています。
NMKRもCardanoから始まりました。
Toblerは「AIについて多くのことを聞いているが、ChatGPT以外はあまり使っていない」企業と話すことを楽しみにしていると述べています。
「彼らが何をしているのかを理解し、どのように支援できるかを考えたいのです」と彼は言います。
「それが従来のテックスタートアップに最も欠けているものです。私たちは皆、自分たちのバブルのために構築していて、実際に毎日それを使う人々と話をしていないのです」
未来は、もう始まっている
「AIに仕事を任せる未来」は、もはやSFではありません。
けれど本当に大切なのは、便利さのその先にある「信頼」をどう築くか。
Masumi Networkは、まさにその信頼の土台を支えるために、着実な一歩を踏み出しました。
私たちがAIとともに暮らし、働く未来。
その未来が、より安心で、誠実で、信頼できるものになるように。
Masumi Networkの挑戦は、AI時代の「信用経済」を支える重要な礎となるかもしれません。
参考:Masumi Network: How AI-blockchain fusion adds trust to burgeoning agent economy
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