「なんだか最近、ブラウザが勝手に気を利かせすぎる気がする」
そんな風に感じたこと、ありませんか?
ウェブページを開いただけで、何やらAIが文章を要約してくれたり、こちらの意図を察して回答を提示してくれたり。
確かに便利。
でも「私はただ、静かにネットを見たかっただけなのに」と感じる瞬間もあるのではないでしょうか。
2026年2月、そんな声に応えるかのように、Firefoxがある大きな決断を下しました。
Mozillaは、Firefoxに搭載されつつある生成AI(ジェネレーティブAI)機能を、ユーザーがまるごと無効化できるオプションを導入すると発表したのです。
これは単なる設定項目の追加ではありません。
もっと深い「テクノロジーとの向き合い方」に関する問いかけでもあるのです。
便利なAI機能が、実は”静かなストレス”になっていませんか?
最近のブラウザには、AIによる機能がどんどん組み込まれています。
例えば、ウェブページの要約機能、質問に対するAIチャットの自動応答、リーディングモードでのAIによる補助表示など。
便利なように見えますが、すべてのユーザーがそれを望んでいるわけではありません。
中には、自分で情報を読み取りたい人、AIによる解釈が入ることに不安を感じる人、プライバシーや情報管理に慎重な人も多く存在します。
そんな中でFirefoxが打ち出したのは「使わない自由」への配慮だったのです。
Firefoxが提示した選択肢:「AIをブロックする」という意思表示
Mozillaは公式に、今後Firefoxに搭載されるあらゆる生成AI機能を、一括してオフにできる設定を導入すると発表しました。
ポイントは以下の通りです。
まず、ユーザー自身が能動的に選べること。
AI機能を使うか使わないかを、ユーザーの意思で決められます。
次に、生成AIのすべてをブロックできること。
個別機能のオンオフではなく、根本的にAI機能を排除可能です。
そして、プライバシーと透明性の尊重。
どの機能にAIが使われているのかを明示し、透明性を担保しています。
具体的には、2026年2月24日にリリース予定のFirefox 148から、デスクトップブラウザの設定内に新しい「AI controls」セクションが登場します。
ここで「Block AI enhancements」トグルをオンにすれば、既存および今後登場するすべてのAI機能へのアクセスがブロックされ、ポップアップや使用を促すリマインダーも表示されなくなります。
また、個別のAI機能を管理することも可能です。
翻訳機能、PDF内の代替テキスト、AI強化されたタブグループ化、リンクプレビュー、そしてサイドバーのAIチャットボット(Anthropic Claude、ChatGPT、Microsoft Copilot、Google Gemini、Le Chat Mistralなどを含む)といった機能を、個別に有効化・無効化できます。
この動きは、生成AI機能を積極的に組み込んでいる他社ブラウザ(例えばMicrosoft EdgeやGoogle Chrome)とは、対照的なスタンスを取るものと言えます。
Mozillaは公式ブログで「AIはウェブを変えつつあり、人々はAIに対してまったく異なるものを求めている。私たちは、AIとは何の関わりも持ちたくないという多くの声を聞いてきた。また、本当に役立つAIツールを求める声も聞いてきた。コミュニティの声に耳を傾け、選択肢を提供するという継続的なコミットメントとともに、AI controlsの構築に至った」と述べています。
これは単なる機能の話ではなく、テクノロジーがユーザーに寄り添うとはどういうことか、という深い問いを投げかけているように思えます。
「AIを使わない」という選択肢に、意味がある時代
生成AIの発展は目覚ましく、便利で魅力的な機能が次々と登場しています。
でも、すべての人が同じスピードで、それを受け入れられるわけではありません。
まるで、町中が自動運転の車であふれても「私は歩きたい」と感じる人がいるように。
テクノロジーに追いつくことよりも、自分のペースで進める安心感のほうが大切なときもあります。
Firefoxの今回の決定は、そんな”歩きたい人のための歩道”を作るような選択だと感じました。
なお、この発表は、2025年12月にAnthony Enzor-DeMeoがMozillaのCEOに就任した後に行われたものです。
同氏は就任時、MozillaがAIに投資し、FirefoxにAI機能を追加していくが、これらの機能はオプションとして提供すると述べていました。
「AIは常に選択肢であるべきだ。人々が簡単にオフにできるものでなければならない。人々は、ある機能がなぜそのように機能するのか、そこから何の価値を得られるのかを知るべきだ」と彼は公式ブログに記しています。
おわりに:選べることは、自由であること
このニュースに触れて、あらためて思ったのは「選べるって、ありがたい」ということでした。
AIを使いたい人には、そのための道を。
AIを使いたくない人には、その静けさを。
Mozillaが示したのは、すべての人が心地よくインターネットを使える未来への一歩だったのではないでしょうか。
次にFirefoxを立ち上げたとき、あなたも「自分はどうしたいか?」をちょっとだけ考えてみてください。
その選択肢があるということが、何よりの自由なのですから。
参考:Firefox will soon let you block all of its generative AI features
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