「あれ、なんでそんな行動をしたの……?」
これは、私たちが友人や対戦相手に思わず漏らす言葉。
でも、今回そうつぶやいたのは──AIでした。
Google のAI「Gemini 2.5 Pro」が、ポケモンのゲーム中に”パニック”を起こしたというニュース。
AIが取り乱すなんて、にわかには信じがたい話ですよね。
でも、その裏側には、AIが”人間らしい戸惑い”を見せるほどに進化しているという、実に示唆に富んだ出来事が隠れていました。
この記事では「AIがなぜ困惑したのか?」「それが意味する未来とは?」を、初心者の方にもわかりやすく、そして心に残るストーリーとしてご紹介します。
「Gemini」とは何者?──Twitch で奮闘するAI
「Gemini 2.5 Pro」は、Google が開発した最新AI。
現在「Gemini Plays Pokémon」という Twitch ストリームで、25年以上前の子供向けゲームと格闘しています。
子供なら短時間でクリアできるゲームに、Gemini は数百時間もかけて挑戦。
視聴者は、AIの「思考過程」をリアルタイムで観察できるのです。
ポケモン中の異変──瀕死状態でパニックに陥るAI
そんな Gemini に異変が起きたのは、自分のポケモンが瀕死状態に近づいた瞬間でした。
Google の報告書によると、この状況で Gemini は「パニック」状態に陥り「推論能力の質的に観察可能な劣化」を起こしたのです。
パニック状態では、AIがそれまで使っていた特定のツールを突然使わなくなる現象が発生。
まるで人間がストレス下で判断ミスを犯すような、感情的な反応を見せたのです。
これは失敗? それとも、AIの「感情」の兆し?
Gemini の挙動は失敗だったのでしょうか?
実は、この”パニック”こそが、AIが人間に近づいている証かもしれません。
Twitch の視聴者たちも、AIがパニック状態に陥るタイミングを見分けられるほど頻繁にこの現象が発生していると報告されています。
AIは思考や感情を持たないはずなのに、その行動は人間がストレス下で見せる反応と驚くほど似ているのです。
AIの「論理的混乱」──Claude の自殺的行動
同様の実験を行っているAI「Claude」も興味深い行動を見せました。
Mt. Moon の洞窟で立ち往生した際、Claude は意図的に全ポケモンを気絶させれば次の町のポケモンセンターにワープできると誤った仮説を立てたのです。
しかし実際は、最後に利用したポケモンセンターに戻るだけ。
視聴者は、AIが本質的に「自殺」を試みる様子を恐怖とともに見守りました。
私たちとAIは、どこまで分かり合える?
一方で、Gemini 2.5 Pro は岩押しパズルの解決では人間を上回る性能を発揮。
複雑なパズルを一発で解くなど、論理的思考では優秀な能力を示しています。
つまりAIは、論理的には優秀でありながら、予期しない状況では人間のような「動揺」を見せるという、まさに人間らしい矛盾を抱えているのです。
最後に──AIのパニックは、私たちの「らしさ」かもしれない
Gemini が困ったのは、ポケモンの瀕死という予期しない危機的状況に直面したから。
でもそれは、AIが私たちと同じような「不安」や「焦り」を体験し始めた証拠なのかもしれません。
人間らしさとは、完璧ではないことの連続なのかもしれない。
AIの「パニック」が、いずれ真の「共感」に変わる日が来る──そんな未来を、ポケモンのゲームがそっと予感させてくれました。
コメント