「もうAIに仕事を任せてるよ」
そんなセリフが、もはやSFではなく、オフィスで聞こえる日が来たとしたら──。
私たちの暮らしの中には、すでに多くのAIが静かに息づいています。
カレンダーのリマインダー、地図アプリのナビゲーション、そして天気予報の通知。
それはまるで、影のように寄り添ってくれる「小さな助っ人」たち。
でも、もしそのAIたちが”言われたことをこなす道具”ではなく”一緒に考え、動いてくれる仲間”になったら?
2025 年5月6日、Hugging Face(ハギングフェイス)が発表した新しいAIツール「Open Computer Agent」は、そんな未来をいま、現実にしようとしています。
ただし、動作はやや遅く、時に間違いを犯すこともあるようです。
【AIはついに”同僚”になる──Open Computer Agent とは何者か】
従来のAIツールは、私たちが指示を与え、それに応じて動く「受け身」の存在でした。
計算を頼めば正確にこなし、翻訳をお願いすれば見事に仕上げてくれる。
便利ではありますが、あくまで使う側と使われる側の関係です。
Open Computer Agent がもたらすのは、新しい可能性です。
このAIは、ウェブからアクセス可能で、Firefox などのアプリケーションがプリロードされた Linux 仮想マシンを使用できます。
OpenAI の Operator と同様に、ユーザーがタスクを指示すると(例:「Google マップでパリにある Hugging Face 本社を探して」)、必要なプログラムを開き、必要な手順を実行してくれます。
【Open Computer Agent の実力と限界】
Open Computer Agent はシンプルな要求なら十分に対応できます。
しかし、TechCrunch のテストによると、フライト検索のようなより複雑な要求では躓くことがあります。
また、解決できない CAPTCHA テストにもしばしば遭遇するようです。
さらに、需要に応じて数秒から数分の仮想キューで待つ必要があります。
もちろん、Hugging Face チームの目標は最先端のエージェントを構築することではありません。
むしろ、オープンAIモデルがより高性能になり、クラウドインフラでの実行コストが低下していることを実証したかったのです。
Hugging Face のエージェントチームのメンバー、Aymeric Roucher は、Xへの投稿で「ビジョンモデルがより高性能になるにつれて、複雑なエージェント型ワークフローを動かせるようになります。
[これらのモデルの一部は]座標によって画像内の要素を特定する能力を備えており[仮想マシン内の]任意の項目をクリックできます」と述べています。
【市場の展望】
完璧からはほど遠いものの、エージェント技術は生産性向上を目指す企業からの投資を増やしています。
KPMG の最近の調査によると、企業の 65% がAIエージェントを実験しています。
Markets and Markets は、AIエージェントセグメントが 2025 年の78億 4000 万ドルから 2030 年には 526 億 2000 万ドルに成長すると予測しています。
【まとめ:AIは「使うもの」から「ともに歩む仲間」へ】
私たちはいま、AIとの関係性を根本から見直す転換点に立っています。
Open Computer Agent は、完璧ではないものの、AIがコンピュータを操作して私たちの指示を実行できる可能性を示しています。
「AIと一緒に働く」──この言葉が当たり前になる未来は、少しずつ形になりつつあります。
テクノロジーとの関係を、恐れるのではなく、共に築くものとして捉えてみましょう。
参考:Hugging Face releases a free Operator-like agentic AI tool
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